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2022/23年度の農林水産物輸出額、過去最高を記録(NZ)

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 ニュージーランド第一次産業省(MPI)は2023年12月14日、22/23年度(7月〜翌6月)のニュージーランド(NZ)の農林水産物輸出額が過去最高を記録したと発表した。
 これによると、同年度の農林水産物輸出額は574億200万NZドル(5兆2758億円:1NZドル=91.91円(注1)、前年度比8.1%増)と、過去最高であった前年度から43億200万NZドル(3954億円)増加した(図1)。品目別では、肉類および羊毛、林産物(注2)を除くすべての品目で増加し、特に全体の4割以上を占める乳製品は260億800万NZドル(2兆3904億円、同18.2%増)と大幅に増加し、全体の成長をけん引した。

(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年12月末TTS相場。
(注2)林産物には丸太やパルプ、製材、紙などが含まれる。
図1 農林水産物輸出額の推移
 乳製品輸出額の増加についてMPIは、(1)バターやチーズなどの高付加価値製品の輸出が主に中国などで増加したこと(2)GDT(注3)平均取引価格が高値で推移した21/22年度に締結された先物契約商品が輸出されたことーなどを要因に挙げている。21/22年度の乳製品価格は、NZや豪州など主要乳製品輸出国での天候不良に伴う供給量の減少から高値で推移し、さらに、22年3月にはロシアのウクライナ侵攻(22年2月)に対する市場ショックも相まって、1トン当たり5065米ドル(72万3434円、1米ドル=142.83円(注1))と過去最高を記録した(図2)。

(注3)グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
図2 GDTの乳製品取引価格と総取引数量の推移
 一方、乳製品に次いで農林水産物輸出額に占める割合が大きい肉類および羊毛は、121億1400万NZドル(1兆1134億円、同1.6%減)とわずかに減少した。この要因についてMPIは、インフレの影響を受けて、世界的に牛肉やラム肉などの中・高価格帯の食肉に対する需要が低迷したことで、輸出価格が下落したことなどを挙げている(図3)。
図3 輸出価格の推移
 今後のNZの農林水産物輸出額の見通しについてMPIは、23/24年度には、(1)エルニーニョ現象による乾燥気候により生乳生産量が減少し、乳製品輸出量の減少が見込まれること(2)最大の乳製品輸出先である中国で全粉乳を中心に需要の低迷が見込まれることーなどから、全体で543億2000万NZドル(4兆9926億円、同5.4%減)とやや減少を見込んでいる。  
 一方、24/25年度には、世界的な生乳生産量の減少による乳製品国際相場の上昇や世界経済の回復による牛肉需要の増加から、576億5000万NZドル(5兆2986億円、同6.1%増)とかなりの程度増加し、再び過去最高を更新すると予測している。
 23/24年度の乳製品、肉類および羊毛の見通しについては以下のとおりである。

(1)乳製品 

・ 生乳生産量(乳固形分換算)はエルニーニョ現象の影響などを受けて184万5000トン(同1.5%減)とわずかに減少し、これに伴い、乳製品輸出量の減少が予測される。
・ 中国をはじめとする世界的な乳製品需要の低迷を受けて、年度前半のGDT平均取引価格が過去5カ年平均を下回る水準で推移したことなどが響き、乳製品輸出額は240億9000万NZドル(2兆2141億円、同7.4%減)とかなりの程度の減少が見込まれる(表1)。
表1 乳製品の輸出額の推移

(2)肉類および羊毛

・ 23/24年度の牛肉輸出量は47万6000トン(前年度比4.0%減)とやや減少が見込まれる。これは、22/23年度の酪農部門での生産者支払乳価の下落や生産コストの高騰、天候不良による繁殖成績の悪化を受けて、乳牛(経産牛および未経産牛)の淘汰(とうた)が進んだことで、23/24年度は酪農部門からのと畜頭数の減少が予測されていることによるものである。
・ また、低・中所得層による牛肉やラム肉など中高価格帯の食肉に対する世界的な買い控えが続く一方で、鶏肉やひき肉などの低価格の食肉に対する需要が引き続き高まると見込まれる。

・ さらに、アジアを中心とする牛肉在庫の増加から輸入需要が減退し、牛肉の輸出価格は前年度比4.0%安の1キログラム当たり8.9NZドル(818円)に下落すると見込まれる。
・ 牛肉と羊肉はペットフード産業などからの需要増によって一部相殺されるが、肉類および羊毛の輸出額は115億6000万NZドル(1兆625億円、同4.6%減)とやや減少が見込まれる(表2)。
表2 肉類および羊毛の輸出額の推移
【工藤 理帆 令和6年1月22日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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