農村振興庁、2023年家きん肉消費調査結果を公表(韓国)
韓国農村振興庁は2023年12月4日、「2023年家きん肉消費調査」を公表した。本調査は、3年毎の鶏肉およびアヒル肉の消費実態と認証制度の認知度を把握し、同国の畜産物の生産・消費動向に対応した畜産研究開発の方向性を見極めることを目的に行われた。同年9月13〜25日にかけて、全国の一般成人2000人(20〜69歳)を対象にアンケート形式でのオンライン調査が行われた。調査の結果、1人当たりの年間平均消費量は20年に比べて鶏肉で0.74キログラム、アヒル肉で0.72キログラムそれぞれ増加した。
【調査結果】
●消費形態別の1人当たりの年間平均鶏肉消費量
韓国の1人当たりの鶏肉年間平均消費量(2023年)は16.51キログラムとなり、2020年に比べて0.74キログラム増加した。消費形態別では、家庭内消費のうち、デリバリーテイクアウト(宅配や持ち帰り)による鶏肉消費量は20年の4.54キログラムから4.42キログラムに減少した一方、家庭内調理は同7.19キログラムから7.68キログラムに増加した。コロナ禍で利用が増した宅配需要に落ち着きがみられる中で、家庭内調理は家庭用調理済食材の多様化など、品質および利便性の向上も図られたことで、消費量の増加につながったと分析されている(表)。
また、韓国では焼肉や燻製、白湯スープなどで食されることが多いアヒル肉の年間平均消費量(同)は3.65キログラムとなり、2020年に比べて0.72キログラム増加し、消費形態別ではいずれも2020年から増加した。
●消費形態別の消費頻度および購入手段
鶏肉を週1回以上「家庭内で消費する人」は2020年比で9.8ポイント下回る61%となり(図1)、「家庭外で消費する人」は同8.2ポイント上回る57.4%となった(図2)。新型コロナウイルス感染症の影響が少なくなり、家庭外で鶏肉消費する機会が増加したものとされる。
また、鶏肉を主に購入する場所および手段は大型スーパーマーケット(75.2%)、Eコマース(40.0%)、農協関連の小売店(30.5%)の順となった。20年比ではEコマースによる購入頻度が増えているが、鶏肉については実店舗などに足を運んで購入することが、いまだに一般的である。実店舗などでの購入を選択する主な理由は「商品を信用して購入できるから」「距離が近いから」などが多く、Eコマースでの購入を選択する主な理由は「安く購入できるから」「プロモーションやイベントが多いから」などの回答が多かった。
●畜産物認証制度の認知度
畜産物の各種認証制度に対する認知度に関し「制度を聞いたことがある」と回答した割合は、アニマルウェルフェア畜産農場認証制度(注1)が73.9%(図3)、有機畜産物認証制度(注2)が52.7%(図4)、抗生物質不使用畜産物認証制度(注3)が75.5%(図5)となり、多くの消費者に認識されていることを示す結果であった。一方で、「制度の内容まで把握している」と回答した割合は、アニマルウェルフェア畜産農場認証制度が19.4%、有機畜産物認証制度が10.9%、抗生物質不使用畜産物認証制度が17.3%と低く、消費者の理解醸成を高めるための積極的な広報活動が必要とみられている。
(注1)韓国動物保護法のもとに韓国農林畜産食品部が一定の動物福祉基準を満たしている農場をアニマルウェルフェア畜産農場として認定する制度。認定農場から生産される畜産物には「アニマルウェルフェア畜産農場認定マーク」が表示できる。
(注2)家畜が自由に動けるスペースがあるなどの一定のアニマルウェルフェアに配慮した飼育環境下で飼育され、かつ、動物用医薬品に頼らず、有機飼料を給餌し、かつ環境に配慮した飼育方法に従って生産された畜産物に付与されるもので、環境配慮型畜産物認定制度の認証の種類の一つ。なお、環境配慮型畜産物認定制度は、韓国農林畜産食品部の指定認証機関が畜産物の製造工程全体が環境配慮型の認証基準を満たしているかを審査し、認定された畜産物にのみ認定マークを付与することができるものである。
(注3)国家農産物品質管理院が指定する認証機関が認証基準に基づいて審査を行い、抗生物質を含まない飼料で飼育された家畜に由来する畜産物であることなどを認証し、より安全な畜産物を消費者に供給するための制度。
今回の調査結果について、調査を実施した農村振興庁の担当者は「消費者ニーズを反映した家きん品種の開発と調理方法の研究を進めるとともに、各種畜産物認証制度の正しい認識が消費者に広まるように努力する」としている。
【海老沼一出 令和6年2月2日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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