米国農務省による世界および米国のトウモロコシ需給予測(2024年2月)
ブラジルの生産量は下方修正も、世界の生産量は過去最大の見込み
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は、2024年2月8日、2023/24年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表1)。
これによると、世界の生産量は12億3257万トン(前年度比6.6%増)と前月から316万トン下方修正された。今年度は米国や中国の増産により過去最大の生産量が見込まれている。このうち、最大の生産国である米国、これに次ぐ中国はいずれも前月から据え置かれた。一方でブラジルは、エルニーニョ現象の影響による乾燥懸念により前月から300万トン下方修正され、2カ月続けての減少となった。
輸入量は、世界全体で1億8982万トン(同10.0%増)と前月から94万トン下方修正された。このうち、EUは前月から50万トン下方修正された。
消費量は、世界全体で12億1076万トン(同3.8%増)と前月から31万トン下方修正された。このうち、EUは前月から30万トン下方修正された。
輸出量は、世界全体で2億82万トン(同11.0%増)と前月から7万トン下方修正された。このうち、ブラジルは生産量の減少見込みを受けて前月から200万トン下方修正されたが、ウクライナが前月から200万トン上方修正されたことで、ブラジルの減少分を補う形となった。
この結果、期末在庫は3億2206万トン(同7.3%増)と前月から316万トン下方修正されたが、前年度からかなりの程度増加が見込まれている。
現地情報によると、今回修正されたブラジルの生産量に関し、ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)が公表した直近の生産量予測(1億1370万トン)を1030万トン上回っていることで、今後、より大きな下方修正の可能性が予想されている。
米国の生産量、輸出量は大幅増も、生産者平均価格は下落の見込み
USDA/WAOBは同日、2023/24年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを更新した(表2)。
生産量は、153億4200万ブッシェル(3億8970万トン(注1)、前年度比12.4%増)と前月から据え置かれた。乾燥気候から当初は一部地域で単収の落ち込みが懸念されたものの、天候の好転による単収の増加などから過去最大の生産量が見込まれている。
消費量は、エタノールや飼料向け需要は伸びるものの、異性化糖向けの減少が見込まれることで124億5500万ブッシェル(3億1637万トン、同3.4%増)と前月から下方修正された。
輸出量は、21億ブッシェル(5334万トン、同26.4%増)と前月から据え置かれ、引き続き大幅な増加が見込まれている。
期末在庫は、生産量の増加と消費量の減少を受けて21億7200万ブッシェル(5517万トン、同59.7%増)と前月から上方修正され、引き続き大幅な増加が見込まれている。
また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、14.9%(同5.0ポイント増)と前月から0.1ポイント上昇し、前年度を上回る水準が見込まれている。
生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり4.80米ドル(713円。1キログラム当たり28.1円:1米ドル=148.55円(注2)、同26.6%安)と大幅な下落が見込まれている。
【横田 徹 令和6年2月13日発】
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