フォンテラ社、23/24年度生産者支払乳価の引き上げを発表(NZ)
ニュージーランド(NZ)乳業最大手のフォンテラ社は2024年2月12日、2023/24年度(6月〜翌5月)の生産者支払乳価を生乳の固形分(注1)1キログラム当たり平均0.3NZドル(28円:1NZドル=92.49円(注2))引き上げ、同7.8NZドル(721円)にすると発表した(図1)。
(注1) 乳脂肪分および乳タンパク質。
(注2) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年1月末TTS相場。
今年度の当初乳価についてフォンテラ社は、中国向け乳製品輸出増の期待感から過去4番目の高水準となる同8.0NZドルに設定していた。しかし、当初乳価の発表(23年5月)以降も同国向け乳製品輸出は停滞し、全粉乳などの乳価参照製品(注3)のGDT(注4)価格が下落基調にあったことで、生産者支払乳価は一時、同6.75NZドル(624円)まで引き下げられていた(図1〜2)。その後、NZでのエルニーニョ現象による乾燥予測を受け、牧草不足による今後の生乳生産への影響を危惧する声が高まったことなどを背景にGDT価格の上昇を受け、生産者支払乳価も上昇基調にある。
(注3)乳価参照製品(Reference products):全粉乳、脱脂粉乳、バター、無水乳脂肪の4品目。主に原料乳製品として扱われることが多く、国際市場における流通量が多いことから、同社の乳価の計算に用いられている。これら以外の品目(チーズなど)は、非参照製品(Non-referenced products)と総称されている。
(注4)グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
今回の引き上げについて同社のハレル最高経営責任者は、最近のGDT価格の上昇を踏まえたものとし、「主に中東や東南アジアからの乳製品需要の高まりがGDT価格に反映されている」と述べた。
なお、今回の公表で同社の1株当たりの配当金(注5)は0.5〜0.65NZドル(46〜60円)に据え置かれた。
(注5) 通常、フォンテラ社へ生乳を出荷する生産者は、生乳出荷実績に応じてフォンテラ社の株式を取得する(生乳の固形分3キログラムに対して最低1株)。このため、最終的に生産者に支払われる金額は、生産者支払乳価と配当金を合わせた金額となる。
【工藤 理帆 令和6年2月19日発】
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