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欧州委員会がウクライナ産農畜産物に対する国境措置の停止措置延長を提案(EU)

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 欧州委員会は1月31日、2022年6月から実施されている自主貿易措置(ATMs :Autonomous Trade Measures)と呼ばれるウクライナ産農畜産物に対する国境措置の停止措置について1年間の延長を提案した。現行のATMsは24年6月5日に終了することから、今後、欧州議会および欧州理事会でこの提案が検討され、現行措置の失効前の承認が期待されている。
 ATMs延長の条件としてウクライナに対し、(1)原産地規則の遵守、(2)EU加盟国からの輸入品に対して新たな国境措置などを設けないこと、(3)民主主義の原則や法による支配原則などを尊重し、汚職対策などに継続的に取り組むこと−が求められている。
 さらに、ATMs開始以降、ウクライナからEUに向けて一部の農畜産物の輸入が大幅に増加したことを受け、影響が大きい家きん肉、卵、砂糖について新たに以下の特別なセーフガード措置が盛り込まれた(図1〜3)。
 
  • 2024年1月1日以降の家きん肉、卵、砂糖の輸入量のそれぞれの合計が、22年および23年の輸入数量の単純平均に達した場合、21日以内にセーフガード委員会に通知した上で、24年末まで関税を再び導入する
  • 2025年1月1日から6月5日までの家きん肉、卵、砂糖の輸入量のそれぞれの合計が、22年および23年の輸入数量の単純平均の12分の5に達した場合、21日以内にセーフガード委員会に通知した上で、25年末まで関税を再び導入する
図1
図2
図3
 その他の関税割当数量が設定されている品目や、参入価格制度(注)の対象品目についても、域内市場(1カ国以上)に悪影響を及ぼす条件で輸入された場合、欧州委員会は、必要な国境措置を講じることができるとされている。このため欧州委員会は定期的に域内市場を監視し、2カ月ごとにその結果を加盟国に報告する。
 定期的な監視に基づき必要性が認められる場合や、相応の根拠に基づき加盟国から市場に悪影響が出ているとの報告がある場合には、欧州委員会は当該輸入の影響と国境措置の必要性を評価する。なお、加盟国からの報告に基づく場合は、4カ月以内に結論を出さなければならない。
 
(注)欧州委員会が定めた価格以上で青果物が輸入されることを担保する制度。

生産者団体による反応

 EU最大の農業生産者団体である欧州農業組織委員会・欧州農業協同組合委員会(Copa−Cogeca)など農業・食品等関係の6団体は同日、プレスリリースを発出した。この中で、ウクライナ支援の継続は我々の義務であり、引き続き協力する用意があるとする一方、農業部門が不釣り合いかつ持続可能ではない負担を強いられているとして、今後審議を行う欧州議会および欧州理事会に対し以下を要求している。
  • 家きん肉、卵、砂糖のみでなく、穀物および油糧種子にも特別なセーフガード措置を講じること。
  • この特別なセーフガード措置の基準となる平均数量を超えて輸入される品目については、EU域内は経由のみにとどめ、必ずEU域外への輸出を義務づけること。
【調査情報部 令和6年2月22日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-8527