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2024年の肉用牛・牛肉生産の見通し(米国)

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 米国農務省(USDA)は2月15日、16日の2日間にわたり、「2024年農業アウトルック・フォーラム」を開催し、当フォーラムにおいて、肉用牛・牛肉生産の動向と24年の見通しが示された 

 

1 肉用牛飼養頭数、引き続き減少

 繁殖雌牛の飼養頭数は、2024年1月1日時点で2822万3000頭(前年比2.5%減)と減少した(図1)。19年をピークとするキャトル・サイクルの縮小期にある中で、23年の干ばつによる牧草生育状況の悪化の影響を受けた経産牛の淘汰(とうた)、未経産牛の肥育仕向けが進んだことが要因として挙げられる。これに伴い、23年の子牛の産子数も3359万3000頭(前年比2.5%減)と減少傾向にある(図2)。24年も繁殖雌牛の飼養頭数の回復(牛群再構築)の目途は立たず、肉用子牛の産子数はさらに減少する見通しである。
 肥育牛の飼養頭数は前述の理由により、24年1月1日時点で1193万頭(前年比2.1%増)と増加した(図3)。24年は肉用子牛の産子数の減少が見込まれることから、肥育牛の飼養頭数は減少する見通しである。
 
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2 牛肉生産量、2.9%減の予測

 肥育牛飼養頭数の一時的な増加から、2024年前半にはと畜頭数および牛肉生産量の増加が見込まれるものの、その後は肥育牛が減少し、年間牛肉生産量も261億8500万ポンド(1187万7316トン)(前年比2.9%減)と減少する見通しである(図4)。また、肥育牛飼養頭数および牛肉生産量の減少から、24年の肥育もと牛の平均価格は去勢牛で100ポンド当たり180米ドル(1キログラム当たり589円:1米ドル=148.55円(注)、同2.5%高)と、記録的な水準であった23年をさらに上回ると見込まれている(図5)。

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年1月末TTS相場。
 
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3 牛肉輸出量は8.3%減、輸入量は10.7%増の予測

 2023年は、米国産牛肉価格の高騰、他の主要牛肉輸出国による牛肉供給量の増加、主要輸出先の景気低迷などの影響を受け、牛肉輸出量は減少した。24年もこの傾向は継続し、牛肉生産量の減少も相まってさらなる輸出量の減少が見込まれる(図6)。
 23年の牛肉輸入量は、ブラジル産牛肉の輸入が低関税枠の早期消化の影響を受けて減少したものの、豪州産やカナダ産牛肉の輸入量が増加したことから、全体として増加した。24年も米国内の牛肉生産量の減少と堅調な加工用牛肉価格が見込まれることから、過去最高の41億2500万ポンド(187万1069トン)に上る見通しである(図7)。
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【調査情報部 令和6年2月22日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:調査情報部国際調査グループ)
Tel:03-3583-9805