2024年の砂糖需給の見通し(米国)
最終更新日:2024年2月29日
米国農務省(USDA)は2月15日、16日の2日間にわたり、「2024年農業アウトルック・フォーラム」を開催し、当フォーラムにおいて、砂糖需給の動向と24年の見通しが示された。
1 砂糖生産量は増加傾向が続く
2023/24年(注1)の米国の砂糖生産量は935万2000トン(注2)(前年比1.1%増)と増加が見込まれており、24/25年も948万3000トン(前年比1.4%増)と増加基調を維持するとの見通しが示された。
その内訳を見ると、23/24年のてん菜糖の生産量は532万7000トン(注2)(前年比2.7%増)と増加し、過去最高となった17/18年の527万9000トンを上回ると見込まれている(図1)。これは、てん菜の作付面積および収穫面積が縮小する中で、1エーカー当たり収穫量の増加や可精糖量の向上が増産に大きく寄与していることによる。24/25年もこの傾向が継続し、生産量は23/24年を超える538万8000トン(前年比1.1%増)との見通しが示された。
(注1)市場年度は10月から翌9月までの1年間。
(注2)ショートトン(粗糖換算)。
23/24年の甘しゃ糖の生産量は402万4000トン(前年比1.0%減)とわずかに減少が見込まれている。甘しゃ糖の生産のほとんどを占めるフロリダ州、ルイジアナ州およびテキサス州の状況を見ると、それぞれの州で生産状況は異なっている。フロリダ州ではこの3年間好調な生産が続いており、23/24年度は204万5000トン(前年比3.0%増)と前年を上回ると見込まれる。一方、23年の干ばつの影響を受けたルイジアナ州およびテキサス州では、それぞれ193万5000トン(前年比3.3%減)、4万4000トン(前年比42.1%減)といずれも前年を下回と見込まれている。この干ばつの影響は、ルイジアナ州では短期間で終息に向かうとされているが、テキサス州では当面の間、影響が続くとみられている。そのため、24/25年はフロリダ州では好調を維持、ルイジアナ州では22/23年の水準にまで回復、テキサス州では23/24年と同水準を継続との見通しが示されている。甘しゃ糖生産量全体としては、24/25年度の生産量は409万5000トン(前年比1.8%増)と23/24年をわずかに上回るとの見通しが示された。
2 2023/24年は輸入量減少も、24/25年は増加に転じる見通し
2023/24年の砂糖の輸入量は332万6000トン(前年比8.0%減)とかなりの程度の減少が見込まれている(図3)。関税割当制度に基づく輸入は22/23年の186万2000トンから23/24年は161万2000トン(前年比13.4%減)、メキシコからの輸入は22/23年の115万6000トンから23/24年の79万9000トン(前年比30.9%減)といずれも減少とされている。
USDAは、関税割当制度に基づく輸入が近年と比較して低水準である要因として、22/23年までは前年分の関税割当期間が延長され、当該年分の輸入量に計上されたことを挙げている。また、メキシコからの輸入量が減少した要因として、メキシコ国内での干ばつの影響による不作を挙げている。
一方で、高関税率適用分の輸入は22/23年の45万5000トンから23/24年は71万5000トン(前年比57.1%増)と増加が見込まれている。従来、この分類では米国内での生産・調達が困難な高価値の精製糖が主な輸入製品であった。しかし、ルイジアナ州、テキサス州の減産、また、メキシコの干ばつの影響を受けて、粗糖の供給量減少と価格の高止まりが生じていることから、高関税率が適用されても輸入を選択する砂糖製造業者が増加したためとみられている。
24/25年は、メキシコからの輸入量が回復するとともに、高関税率適用分の輸入量がさらに増加するとみられており、輸入量全体は384万6000トン(前年比15.6%増)とかなり大きく増加する見通しが示された。
3 国内消費量はほぼ横ばい
2023/24年の総消費量(注3)は1271万5000トン(前年比1.0%減)とわずかに減少が見込まれている(表2)。同年の輸出量は、干ばつの影響で生産量が落ち込むメキシコ向けの増加から16万トン(前年比95.1%増)と急増するものの、国内消費量はほぼ横ばいでの推移が見込まれている。24/25年の総消費量は1263万5000トン(前年比0.6%減)とわずかに減少する見通しとされるが、これはメキシコ向け輸出量が以前の水準に戻るとされるためである。
(注3)輸出量と国内消費量を合計したもの。
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