また、新型コロナウイルス感染症の拡大やロシアによるウクライナ侵攻の影響で、主要農産物または生産資材の輸入元であったウクライナ、ロシア、ベラルーシとの貿易規制や海上輸送の混乱などにより家畜飼料価格などの生産コストが上昇し、消費者価格にも影響を及ぼしているとされている。
今回の調査結果を踏まえて、調査を行った研究チームは、EUの食料システムにおける輸入への依存に対応するためにEU当局に対して以下の政策提言を行った。
(1)食料安全保障のための多様な供給元の確保
(2)戦略的備蓄による市場の安定性への対応
(3)物流を維持するための欧州横断輸送ネットワーク(TEN-T)の促進
(4)域内生産の増加を促進させる研究・技術革新の強化
(5)共通農業政策(CAP)を通じた自給率向上の推進
(6)輸入依存度の監視強化
その他、消費者の食生活における動物性食品を減らすといった消費パターンの変化や「Farm to Fork(農場から食卓まで)」戦略において掲げられている昆虫や藻類などの代替飼料原料の使用
(注)も飼料原料の輸入を削減できる可能性があるとされている。
(注)「EUにおける昆虫の飼料利用の実態と展望」(畜産の情報2023年9月号)をご参照ください。
現地報道によると、今回の調査結果を踏まえて、欧州委員会は24年にもEUのたんぱく質政策を見直し、(飼料原料となる)植物性たんぱく質の域内生産を増加させるための措置を講じる可能性があるとしている。