2023/24年度主要穀物の生産状況等の調査結果(第6回)を公表 (ブラジル)
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は3月12日、2023/24年度第6回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した(表、図1〜2)。この調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)や秋植えの冬期作物(第2期作・第3期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。
23/24年度トウモロコシ生産量は下方修正により前年度比14.5%減の見込み
2023/24年度のトウモロコシ生産量は、前回より94万3500トン下方修正の1億1275万2700トン(前年度比14.5%減)と前年度をかなり大きく下回ると見込まれている。これは、飼料穀物価格の低迷を反映してトウモロコシから大豆などへ転作が進んだことや、エルニーニョ現象の影響により主産地で極端な天候不順となったためである。
このうち、全生産量の5分の1を占める第1期作の生産量は、2341万3300トン(同14.5%減)と前年度をかなり大きく下回ると見込まれている。これは、エルニーニョ現象の影響により23年10〜11月に南部地域で大雨や日照不足、一方、中西部や南東部地域などでは不規則な降雨、水不足および高温となり、播種作業の遅れや作物の初期生育に大きな影響を及ぼしたためである。収穫作業は3月初旬時点で作付面積の32.9%終了し、前年同期を6.6ポイント上回っている。
また、全体の4分の3程度を占める第2期作の生産量は、8734万8600トン(同14.7%減)と前年度をかなり大きく下回ると見込まれている。播種作業は3月初旬時点で作付面積の86.2%終了し、前年同期を13.7ポイント上回っている。
23/24年度のトウモロコシ輸出量は、生産量の減少に加え、米国やアルゼンチン産の豊作を背景に国際市場での供給量が増加するため、3200万トン(前年度比41.4%減)と前年度を大幅に下回ると見込まれている。
23/24年度大豆生産量は4回連続の下方修正で、前年度比5.0%減の見込み
2023/24年度の大豆生産量は、前回より254万5200トン下方修正の1億4685万8500トン(前年度比5.0%減)と前年度をやや下回ると見込まれている。生産量はこれまで4回連続で下方修正され、当初の予測(1億6200万3400トン)から9.3%(1514万4900トン)減少して前年度割れとなるものの、これまで最大であった22/23年度に次ぐ水準が見込まれている。作付面積は前年度より増加したものの、エルニーニョ現象の影響によるシーズン初期の極端な天候不順により単収が減少したことが生産量の下方修正につながった。11月以降に播種された大豆については、その後の天候の回復により単収が改善しているが、これまでの損失を補うには至っていない。州別で見ると、最大の生産地である中西部マットグロッソ州では、シーズン初期の不規則な降雨や水不足、高温が作物の生育に悪影響を及ぼし、23年12月以降の降雨により単収が回復したものの、豊作となった前年度の生産量を17.5%下回ると見込まれている。また、南部リオグランデドスル州では、多雨による播種の遅れやその後、干ばつに見舞われ、アジア型ダイズさび病の発生が確認された。全体の収穫作業は3月初旬時点で作付面積の55.8%が終了し、前年同期を2.4ポイント上回っている。特に中西部で収穫が進んでおり、マットグロッソ州が同89.3%で最も高く、マットグロッソドスル州、ゴイアス州と続いている。
23/24年度の大豆輸出量は、前回より183万3700トン下方修正され9232万9800トン(同9.4%減)と見込まれている。これは、生産量の減少のほか、隣国アルゼンチンの大豆生産量が前年度の不作から回復すると見込まれるためである。
【井田 俊二 令和6年3月21日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9472