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園芸生産額は過去最高を更新、輸出も堅調に増加の見込み(豪州)

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最終更新日:2024年3月28日

 豪州の園芸関係団体であるホート・イノベーションは2024年2月、75品目におよぶ園芸品目(注1)の需給などに関する統計ハンドブックを公表した。また、豪州農業資源経済科学局(ABARES)は同年3月、今後6年間(23/24〜28/29年度(注2))の同国における園芸作物の需給動向にかかる分析を公表した。本稿では両資料を基に、豪州の園芸生産の見込みなどについて紹介する。
 (注1)野菜、果樹、ナッツ類、花きなど。
 (注2)豪州の会計年度は、7月〜翌6月。


 ホート・イノベーションの報告によると、2022/23年度の豪州の園芸生産額は前年度比2.8%増の163億豪ドル(1兆6280億円:1豪ドル=99.88円(注3))を記録している。しかし、肥料費、労賃、洪水被害を受けた作物の植え替え費用などの生産コストの上昇が園芸農家の利益率を圧迫しているとし、収益改善には、園芸業界が輸出市場を開拓することが重要と指摘されている。
なお、2023年8月に設立された産学官共同プログラムであるFASTA(Fresh and Secure Trade Alliance)は、輸出先との市場アクセス交渉のための各種データを提供するほか、豪州園芸産業における8年間のバイオセキュリティ対策プロジェクトを実施し、輸出市場開拓に貢献している。
 また、ABARESの報告によると、園芸産品全体の輸出額は、気象条件の改善とかんがいによる効率的な水資源の利用による生産量の増加に加え、果樹やナッツ類を中心とした国内外の需要拡大により、24/25年度には40億豪ドル(3995億円、前年度比11%増)、28/29年度には47億豪ドル(4694億円、24/25年度比18%増)の増加が見込まれている(図1)。
 (注3)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の24年2月末TTS相場。
図1 園芸産品の輸出額推移
 さらに、ホート・イノベーションの報告によると、直近の22/23年度の野菜の国内生産額は、58億3040万豪ドル(5823億4035万円、前年度比5.4%増)と過去最高を記録している(表、図2)。このうち、豪州が日本の輸入先第2位(注4)のにんじんは、2億6170万豪ドル(261億3860万円、同5.6%増)、同4位のたまねぎは3億3270万豪ドル(332億3008万円、同31.3%増)と、いずれも過去最高を記録している。野菜産業の成長要因について業界関係者は、生産面積の増加とともに、より効率的な栽培方法の実施を挙げている。
 また、同年度の野菜の輸出額は、2億5160万豪ドル(251億2981万円、同1.0%減)とわずかに減少したが、国内流通金額は、小売および外食を合わせて61億7540万豪ドル(6167億9895万円、同4.4%増)とやや増加した。
 (注4)ベジ探「品目別・輸入先国・数量・金額・単価」の22年の国別輸入量順位。
     https://vegetan.alic.go.jp/other/list-data.html#list-data03
表 近年の豪州野菜の生産・流通・輸出入などを含めた流通量および流通取引総額
図2 豪州野菜の流通図(22/23年度)
 これら野菜の24/25年度の生産見通しについてABARESは、にんじんは30万7000トン(同2.5%減)と若干の減少を、たまねぎは気象条件の改善予想を背景に29万5000トン(同3.5%増)まで増加と見込んでいる(図3)。
図3 たまねぎおよびにんじんの生産量の推移
【調査情報部 令和6年3月28日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9530