カナダ肉用牛生産者協会(CCA)は3月11日、「生体牛の輸入に対する差別につながり、北米におけるサプライチェーンの統合を損なうことを懸念している」との声明を発表した。また、肉豚農家の全国組織であるカナダ豚肉協議会(CPC)も3月13日、「今回の改正は、かつてWTOで争われた義務的な原産地表示と同様、統合された米カナダ間の貿易に影響を及ぼすものであり、米カナダ双方の豚肉業界からのコメント
(注3)が考慮されていないことに失望した」と懸念を表明した。翌14日には、カナダの食肉加工企業を会員とするカナダ食肉協議会(CMC)が「政府との緊密な連携を通じて、参入障壁の削減を引き続き提唱し、カナダの食肉産業が原産地表示によって制限されないようにする」との声明を発表した。
米国は2008年、牛や豚の繁殖・肥育・と畜が行われた国の表示を義務付ける規則(mCOOL:Mandatory country-of-origin labeling)
(注4)を施行したが、14年にWTO協定違反との裁定を受け、15年に米国議会によって廃止された経緯がある。今回の規則は任意的表示(vCOOL:Voluntary country-of-origin labeling)であるものの、CCAなどは「カナダは米国原産地表示への報復措置に関する当時の認可を保持しており、今回改正はWTOの裁定違反と判断される可能性がある」としている。
(注3)全米豚肉生産者協議会(NPPC)は、2023年6月にUSDAに提出したコメントで、貿易相手国による提訴や報復関税措置のきっかけとなる可能性を指摘し、規則案の修正または廃止を求めていた。なお、今回の改正に際し、同団体から新たに声明などの発表は行われていない。
(注4)mCOOLについての詳細は「【海外情報】米国の義務的原産地表示(COOL)がWTO協定違反と裁定(米国)(平成26年10月22日発)」および「【海外情報】義務的原産地表示制度(COOL)から牛肉、豚肉の除外を決定(米国)(平成27年12月28日発)」をご参照ください。