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米国原産地表示の規則改正に関するメキシコの反応(米国、メキシコ)

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 米国農務省(USDA)は3月18日、食肉、家きん肉および家きん卵製品を対象とした米国原産地表示に関する規則を改正した(注1)。同改正に伴い「米国原産(Product of USA)」および「米国製造(Made in the USA)」との表示が可能な食肉製品は、2026年1月1日の規則適用以降、米国内で産出、飼養、と畜、加工された家畜に由来するものに限られるようになる。これに対し、メキシコの政府および農業団体はそれぞれ懸念の声明を発表した。
(注1)詳細は「【海外情報】米国農務省、米国原産表示に関する規則案を発表(米国)(令和5年4月24日発)」および「【海外情報】米国農務省、食肉などの米国原産地表示に関する規則を改正(米国)(令和6年4月8日発)」をご参照ください。

1 メキシコ政府の反応

 メキシコ農業・農村開発省(SADER)は3月11日(注2)、米国原産地表示の規則改正に失望と懸念を表明し、高度に統合された北米の畜産業の実態を考慮していないとした。メキシコは、米国向けに生体牛や牛肉を輸出し(図)、輸出された牛は米国で肥育やと畜・加工が行われるなど、両国間で牛肉産業の統合が進んでいる。このため、今回の改正により米国産の家畜との仕分けが必要になるなどの影響が生じるとみられている。また、メキシコ経済省は3月14日、メキシコの生産者を差別するものであるとして、同改正を拒否するとの声明を発表し、USDAに対して再考を求めた。同省は、この規則によって物流が複雑化し、追加のコストが発生する可能性があり、これはメキシコの生産者だけではなく、米国の消費者にも負の影響を及ぼすと述べた。
 両省は共に、今回の改正がWTOおよび米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)における米国の義務に矛盾していると述べた。今後の対応についてSADERは、「メキシコ農畜産業の利益を守るため、経済省や外務省を支援する用意がある」とし、経済省は「貿易相手国とは建設的な対話を行う用意があるが、USMCAやWTOの下での紛争解決メカニズムに訴える可能性も検討している」とした。
(注2)USDAが3月11日に規則改正の最終案のプレスリリースを行い、これにあわせて同日以降、メキシコ政府などが声明を発表した。
図 米国向け生体牛輸出頭数および牛肉輸出量の推移

2 メキシコ畜産業界の反応

 メキシコ全国農牧協議会(CNA)は3月13日、米国原産地表示の改正について、北米の農産物市場の統合に逆行するものであり、遺憾であるとの声明を発表した。また、表示は任意とされているものの、安全規制と同様、輸入業者が義務付けを開始したら、事実上義務化される可能性があると指摘した。同会は、USMCAやWTOの規定に沿って、メキシコの畜産業界が差別的な扱いを受けることのないよう支援を行っていくとした。また、メキシコ畜産連合会(CNOG) は改正に反対の意を示し、「経済省はメキシコが輸入する米国産粉ミルクや豚肉に関税を課すことが可能」と述べ、報復関税を課すことも辞さないよう政府に訴えた。さらに、同会は、米国で発生する追加コストのためにメキシコの牛の価格が下がる可能性や、米国の輸入業者が2026年より前倒しで運用を開始する可能性について指摘した。同会はメキシコ政府に対し、この措置が北米貿易に悪影響を及ぼすことのないよう、USDAと話し合うことを求めた。
【小林 大祐 令和6年4月10日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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