2023年の畜産業の動向を公表（家きん肉編）（台湾）

　財団法人（台湾） 中央畜産会（NAIF）は、2024年2月に発行した「畜産報導」の中で、2023年の畜産業の動向を公表した。これによると、台湾の食肉消費は新型コロナウイルス感染症の影響緩和による観光業の回復や雇用の改善から増加傾向にあり、2022年の1人当たり食肉消費量は87.5キログラムと過去最高を記録し、引き続き旺盛な食肉需要が続くとみている（内訳：牛肉7.34キログラム、豚肉36キログラム、鶏肉43.12キログラム。図1）。一方で、アフリカ豚熱や高病原性鳥インフルエンザなどの家畜伝染病の感染リスクや、異常気象の発生が食肉需給に影響を及ぼす懸念もあるため、サプライチェーン全体での対応が必要になるとしている。本稿ではこのうち、養鶏業および家きん肉について紹介する。

　2023年第3四半期（9月）末の鶏の生産者戸数は6260戸（前年同期比1.8％減）、飼養羽数は1億138万9000羽（同2.4％減）、また、同年の白羽鶏（ブロイラー）出荷羽数は2億4905万羽（前年比4.5％減）となった（表1）。鶏肉の主要輸入先である米国での高病原性鳥インフルエンザ発生を受け、鶏肉供給量を確保するため台湾の生産者は飼養羽数の増加に取り組んだ。しかしながら、2023年は異常気象により気温の高い日が多かったことから、季節の変わり目で昼夜の寒暖差が大きく、家きんの生育環境としては厳しい状況が続いた。そのため、鶏卵（ひな）生産量や鶏卵孵化率が低迷し、飼養羽数は減少することとなった。

　2023年の白羽鶏（ブロイラー）の平均価格は、1キログラム当たり61.72台湾ドル（296円；1台湾ドル＝4.79円^（注）、前年比8.7％高）となった（表2）。前述のひな供給量の減少は、ひな取引価格の高騰を引き起こし、飼料価格の高騰と合わせて、養鶏業のコスト上昇につながった。そのため、成鶏の取引価格も高騰し、23年7月に1キログラム当たり63.8台湾ドル（306円）と過去最高を記録した。23年の下半期にはひな供給量が回復したものの、鶏肉供給不足を見込んで手当された輸入鶏肉と競合し、鶏肉需要が落ち着く中秋節後（10月初旬）の供給過多が懸念された。生産者は需給状況を見極めた出荷が求められることとなった。
　（注）三菱UFJリサーチ＆コンサルティング株式会社「諸通貨の現地における相場」「月末・月中平均の為替相場」の2023年2月末売相場およびTTS相場より算出。

　2023年の冷蔵および冷凍鶏肉輸入量は23万9836トン（過去5カ年平均比11.9％増）となった。主な輸入先は米国で輸入量全体の99.9％を占めた（図2）。

　出典：財団法人（台湾）中央畜産会「2024年2月253期畜産報導（畜禽産業回顧2023展望2024）」