メキシコ肉牛・牛肉業界の2023年の実績と24年の見通し（メキシコ）

　米国農務省海外農業局（USDA/FAS）は2月21日、メキシコの肉牛・牛肉業界の2023年の実績と24年の見通しを発表した。これによると、23年の牛肉生産は国内外の堅調な需要から前年比で増加し、24年にかけても飼料価格高騰の緩和を背景とした増加が予測されている。また、23年の牛肉輸出量は、ペソ高の為替相場による価格競争力の低下から減少したものの、24年は国内生産量の増加とアジア地域からの需要増などを背景に、増加が予想されている。以下にその概況を報告する。

　メキシコの肉用牛飼養頭数は近年、増加傾向で推移しており、2024年1月時点の牛総飼養頭数は1795万頭（前年比0.6％増）とわずかに増加した（表1）。23年の子牛出生頭数は848万頭（同1.5％増）とわずかに増加し、24年にかけても、飼料用トウモロコシ価格の緩和による収益性改善などにより、860万頭（同1.5％増）と増頭が予測される。
　また、海外からの優良な肉牛の導入などを目的とした生体牛輸入についても、24年は5万5000頭（同10.0％増）とかなりの程度増加が予測される。生体牛輸出については、米国からの強い需要により133万頭（同5.1％増）と引き続き高い水準での輸出が予測されている。
　一方で、さらなる飼養頭数の拡大の課題として、メキシコ北部の肉牛主要生産州で発生している干ばつや燃料費の高止まり、金利上昇などが挙げられている。

　メキシコの牛肉生産量は、過去10年、増加傾向で推移しており、2023年の牛肉生産量は222万トン（前年比2.0％増）とわずかに増加した（図1、表2）。24年の牛肉生産量も国内外の堅調な需要に伴い、226万トン（前年比1.6％増）とわずかな増加が予測される。

　メキシコの牛肉輸出量は、2013年以降、国内生産量の増加と堅調な国外需要を背景に増加傾向で推移している。
　2023年の牛肉輸出量は、国内からの需要増やペソ高の為替相場による価格競争力の低下により、34万トン（前年比14.6％減）とかなり大きく減少した（表2）。24年は加工技術を要するショートロインやヒレといった高付加価値部位の需要増が見込まれる中、日本や韓国などアジア地域からの需要増により、36万5000トン（同7.4％増）とかなりの程度増加が予測されている。ただし、輸出に対する懸念材料として24年6月に実施される大統領選挙後の混乱が挙げられている。
　23年の牛肉輸入量はペソ高の為替相場から輸入牛肉の需要が増加し、20万トン（前年比20．5％増）と大幅に増加した。24年についてはペソ高が是正されて19万トン（同5.0％減）とやや減少が予測される（表2）。

当海外情報の掲載内容に誤りがありましたので、以下の通り訂正いたしました（令和6年4月15日）。
（誤）24年についてはペソ高が是正されて190万トン（同5.0％減）とやや減少が予測される（表2）
（正）24年についてはペソ高が是正されて19万トン（同5.0％減）とやや減少が予測される（表2）