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米食肉業界、食肉消費に関する調査結果を公表(その2:内食の動向)(米国)

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 食肉企業を主会員とする北米食肉協会(NAMI)および小売企業を主要会員とする食品産業協会(FMI)は3月18日、食肉消費に関する消費者アンケート調査報告書「パワー・オブ・ミート2024」(注1、2、3)を公表した。
(注1)本アンケート調査は18歳から75歳までの1730人の食肉消費者を対象に実施。
(注2)18〜26歳を「Z世代」、27〜42歳を「ミレニアル世代」、43〜58歳を「X世代」、59〜75歳を「ブーマー世代」とする。
(注3)年間世帯収入4万5000米ドル未満を「低所得層」、4万5000〜7万5000米ドル未満を「中所得層」、7万5000〜12万5000米ドル未満を「中高所得層」、12万5000米ドル以上を「高所得層」とする。


 本報告書によると、生鮮、加工、冷凍、加熱済み、調理済みのものなどさまざまな食肉製品について、消費者が一週間の夕食のうちに内食で利用する回数は平均4.0回であった(図1)。若い世代ほど利用が少なく、年上の世代ほど利用が多い傾向が見られた。新型コロナウイルス感染症の拡大(パンデミック)の影響を受けて急増した2020年を除き、インフレの影響もある中で、2013年以降やや増加傾向にあるとみられている。
 また、夕食の内容としては「ほとんど一から調理する」との回答が43%、「加熱済み・調理済み食品も組み合わせる」との回答が48%と、何かしらの調理を行う消費者が91%を占める結果となった(図2)。世代別にもると、年上の世代ほど「ほとんど一から調理する」との回答が多くなったが、Z世代の56%が「加熱済み・調理済み食品も組み合わせる」と回答しているように、若い世代でも一定の割合で何かしらの調理を行うことが分かった。
 さらに、これらを裏付けるように、外食の頻度を減らした消費者のうち、内食でレストランメニューの再現を試みることがよくある、あるいはたまにあると回答した消費者は75%に上っている(図3)。高所得層ではこれが83%に上り、所得が多い消費者ほどレストランメニューの再現を試みることが多かった(図4)。
 
図1 一週間当たりの平均内食回数の推移
図2 夕食の内容
図3 外食の頻度が減った消費者のうちレストランメニューを家庭で再現する頻度
図4 所得層別のレストランメニューを家庭で再現するとの回答割合
 食肉を使った調理方法の調べ方を見ると、「家族や友人から聞く」「既に知っているレシピ」との回答が多い中で、「レシピサイト」や「YouTube」といった回答も多く見られた(表1)。特に、Z世代やミレニアル世代では「YouTube」「TikTok」「Instagram」「Pinterest」などのいわゆるデジタル・プラットフォームの活用が多くみられたことが特徴的である。一方で、X世代やブーマー世代では、「家族や友人から聞く」「既に知っているレシピ」との回答が多かった他、「レシピサイト」「料理本」「Facebook」の活用が多くみられた。どの世代を食肉の販売ターゲットにするかによって、レシピを紹介する媒体が異なってくると言える。
表1 食肉を使った調理方法の調べ方
 夕食の平均調理時間を見ると、平日では32分、休日では35分であった(図5)。31〜60分間で夕食を準備している消費者が平日では34%、週末では37%を占めた一方で、若い世代を中心に25分間以内で準備を済ませる消費者も多くみられた。
図5 夕食の平均調理時間
 日常の食肉調理に使用する調理器具は、オーブンおよびガスコンロがそれぞれ71%および68%と多数を占めた(表2)。いずれの世代でも多数の回答であったが、X世代やブーマー世代にとっては、これらの二つの調理器具が主に食肉調理に使用するものであることが分かった。Z世代やミレニアル世代では、エアフライヤーや電子レンジの使用も多い。
 また、来客時の食肉調理に使用する調理器具もオーブンおよびガスコンロがそれぞれ71%および59%と多数を占めたが、日常の食肉調理と比べると、ガスコンロの使用は減っている(表3)。さらに、電子レンジ、エアフライヤーの使用も減り、来客時にはガスグリルの使用が増えることが分かった。
表2 日常の調理に使用する調理器具
表3 来客時の調理に使用する調理器具
 本報告書によると、ホリデーシーズンなどの祝祭日、誕生日や記念日などの特別な日、来客時のおもてなしが必要な日には、普段より高級な食肉を購入する傾向にあるという。内食向けの高級食肉については、オーブンやガスコンロによる調理の他、ガスグリルによる調理を意識した商品展開が求められる。高級食肉が内食需要をターゲットとして商品展開する場合には、消費者の調理方法や調理器具なども踏まえた戦略が必要であろう。
【調査情報部 令和6年4月12日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9533