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カリフォルニア州の豚肉小売価格、州法第12号の影響から2割上昇(米国)

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 米国農務省(USDA)のエコノミストらは3月25日、カリフォルニア州法第12号による同州の豚肉小売価格への影響に関する調査報告書を公表した。これによると、カリフォルニア州内の豚肉小売価格は、州法第12号が施行された2023年7月1日以降、比較して平均20%上昇し、中でもロインは最大となる41%の上昇となった。また、24年1月の全米の豚肉消費量に占めるカリフォルニア州の割合は、施行前の10%から8%へと低下した。

1 報告書の概要

 州法第12号では、カリフォルニア州で販売される豚肉製品について、少なくとも1頭当たり24平方フィート(2.2平方メートル)以上の飼養面積で飼育された母豚に由来するものでなければならないとされている(注)。規制の対象となる豚肉製品は未調理・未加工の豚肉であり、調理済み製品、ソーセージを含むひき肉製品、他の原料と混合された製品などは対象外となる。母豚の飼養方法の変更などに伴い生産コストの増加が見込まれることで、同州内の豚肉小売価格の上昇が予想されていた。
 報告書によると、カリフォルニア州内と州外の豚肉小売価格の比較では、2023年7月1日以降、他州に比べて同州内のバラは16%高、リブ(骨付きバラ)は17%高、ロインは41%高と、いずれも大幅に上昇している(表)。一方、州法第12号の対象外のひき肉は3%高、加工原料用は8%高にとどまっている。また、施行以前にと畜・加工された豚肉在庫の販売猶予期間が終了した24年1月以降では、特にバラとリブの価格差が拡大しており、同州内での豚肉供給不足の可能性を示唆している。
 州法第12号の施行前に行われた試算では、対象となる豚肉製品の小売価格は平均7.7%上昇とされたが、今回の報告書ではその数値を上回る結果となっている。この要因として報告書は、生産コストの増加や市場の短期的混乱に加え、州法第12号に準拠した豚肉の供給が追い付いていないことを挙げている。このため、同州の豚肉需要を満たすためには、米国の豚肉生産量の6%が州法12号に準拠する必要があるとされている。しかし、これに準拠した豚肉の供給量は、24年1月以降1.5〜4%程度の推移とされる。今後、供給量の増加により豚肉の価格差は縮小する可能性があるとしつつも、州法第12号の長期的な影響はいまだ不明とし、準拠した豚肉の供給動向について、さらなる監視と分析が必要とされた。
(注)「【海外情報】母豚の飼養基準と販売を規制する州法の動向(その1:カリフォルニア州)(米国)(令和5年7月28日発)」も併せてご参照下さい。
表 カリフォルニア州内と州外の豚肉小売価格

2 養豚業界の反応

 全米豚肉生産者協議会(NPPC)は3月29日、報告書の内容を引用しつつ「州法第12号の遵守は、豚舎の改修や新築による負担を伴う。このままでは、同様の規制が他州にも広がる恐れがある」と懸念を表した。また、現在、見直しが行われている農業法案で州法の制限を検討している下院農業委員会のトンプソン委員長(共和党、ペンシルベニア州)への支持を表明した。さらに、NPPCのステバーマー会長は4月9日、「消費者がこれほどの影響を受けるとは、ほとんど誰も予想できていなかった。民主党と共和党は、混乱と価格上昇が全米に広がるのを防ぐため、農業法案への協力が必要」とし、改めて農業法案による解決を求めた。
【小林 大祐 令和6年4月22日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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