州法第12号では、カリフォルニア州で販売される豚肉製品について、少なくとも1頭当たり24平方フィート(2.2平方メートル)以上の飼養面積で飼育された母豚に由来するものでなければならないとされている
(注)。規制の対象となる豚肉製品は未調理・未加工の豚肉であり、調理済み製品、ソーセージを含むひき肉製品、他の原料と混合された製品などは対象外となる。母豚の飼養方法の変更などに伴い生産コストの増加が見込まれることで、同州内の豚肉小売価格の上昇が予想されていた。
報告書によると、カリフォルニア州内と州外の豚肉小売価格の比較では、2023年7月1日以降、他州に比べて同州内のバラは16%高、リブ(骨付きバラ)は17%高、ロインは41%高と、いずれも大幅に上昇している(表)。一方、州法第12号の対象外のひき肉は3%高、加工原料用は8%高にとどまっている。また、施行以前にと畜・加工された豚肉在庫の販売猶予期間が終了した24年1月以降では、特にバラとリブの価格差が拡大しており、同州内での豚肉供給不足の可能性を示唆している。
州法第12号の施行前に行われた試算では、対象となる豚肉製品の小売価格は平均7.7%上昇とされたが、今回の報告書ではその数値を上回る結果となっている。この要因として報告書は、生産コストの増加や市場の短期的混乱に加え、州法第12号に準拠した豚肉の供給が追い付いていないことを挙げている。このため、同州の豚肉需要を満たすためには、米国の豚肉生産量の6%が州法12号に準拠する必要があるとされている。しかし、これに準拠した豚肉の供給量は、24年1月以降1.5〜4%程度の推移とされる。今後、供給量の増加により豚肉の価格差は縮小する可能性があるとしつつも、州法第12号の長期的な影響はいまだ不明とし、準拠した豚肉の供給動向について、さらなる監視と分析が必要とされた。
(注)「【海外情報】母豚の飼養基準と販売を規制する州法の動向(その1:カリフォルニア州)(米国)(令和5年7月28日発)」も併せてご参照下さい。