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欧州委員会、食肉の短期的需給見通しを公表(EU)

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 欧州委員会は2024年5月3日、農畜産物の短期的需給見通し(注1)を公表した。このうち、23年の食肉(牛・豚・鶏)の需給状況および24年の需給見通しの概要について紹介する。
 
(注1)欧州委員会は、農畜産物の短期的需給見通しを年2回(24年に年3回から年2回に減少)、中期的需給見通しを年1回(12月)公表している。

牛肉

 2023年の牛肉生産量は、前年比3.9%減の645万7000トンとなった(表1)。主要生産国のうち、イタリア(前年比17%減)などで減少が大きかったほか、22年は前年比増となっていたスペイン(同5.0%減)やアイルランド(同3.5%減)も減産となった。
 24年の牛肉生産量は、乳用牛飼養頭数の減少に伴う酪農部門からの供給低下などにより、と畜頭数の減少が見込まれることで同2.4%減の630万4000トンと予測されている。また、牛肉生産量の減少やそれを補う十分な輸入も見込めないことから需給はひっ迫し、EU産牛肉価格は引き続き高値で推移するとされている。
 また、同年の牛肉消費量は、引き続き域内の牛肉価格が高値で推移するため、消費量は同2.6%減(1人当たり9.4キログラム)と予測されている。
表1 牛肉における前年比増減割合
 同年の牛肉輸出量は、EU産牛肉の価格が高いにもかかわらず、23年3月のトルコ向け輸出の再開などにより堅調な推移が見込まれることで、同3.0%増の53万7000トンと予測されている。
 同年の牛肉輸入量は、ブラジルからの輸入増が見込まれるため、同2.0%増の33万1000トンと予測されている。

豚肉

 2023年の豚肉生産量は、ほぼすべてのEU加盟国で減少し、前年比6.6%減の2080万5000トンとなった(表2)。一方、飼料価格の下落により、枝肉重量は同0.7%増加した。
 24年の豚肉生産量は、肥育豚の飼養頭数が減少しているものの、繁殖母豚や子豚頭数の増加から減少幅は緩やかになり、同0.4%減の2073万トンと予測されている。
 同年の豚肉消費量は、供給量の減少による豚肉価格の高止まりは続くものの、堅調な需要により、ほぼ横ばいで推移し、同0.2%増の1794万6000トン(1人当たり31.0キログラム)と予測されている。
表2 豚肉における前年比増減割合
 同年の豚肉輸出量は、EU産の豚肉価格が高止まりした場合、価格競争力の低下による輸出需要の減少が継続し、同4.0%減の289万1000トンと予測されている。
 同年の豚肉輸入量は、主要輸入元である英国からの輸入減により、同2.0%減の10万6000トンと予測されている。

家きん肉

 2023年の家きん肉生産量は、近年の高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の発生の影響から回復し、飼養羽数が急速に増加していることで、前年比2.3%増の1337万1000トンとなった(表3)。背景には、EU産の家きん肉価格が高値で推移していることから生産者の増産意欲が高いことに加えて、他の食肉よりも安価であることから域内での需要が伸びていることが挙げられる。
 24年の家きん肉生産量は、旺盛な需要と家きん肉価格の高値が続くことが見込まれるため、同1.7%増の1359万8000トンと予測され、同年の家きん肉消費量は、2.2%増の1263万7000トン(1人当たり24.6キログラム)と予測されている。
表3 家きん肉における前年比増減割合
 同年の家きん肉輸出量は、EU産の家きん肉価格の高止まりが見込まれることから、価格競争力の低下が続き、前年比1.0%減の182万3000トンと予測されている。ただし、主要輸出先の英国向けに関し、同年4月30日から導入された国境措置の強化(注2)による輸出への影響度合いは不明であるとされた。
 一方で、同年の家きん肉輸入量は、域内需要の高まりによりブラジルなどからの輸入増が見込まれるため、同3.0%増の86万3000トンと予測されている。
 
(注2)海外情報「EUとの国境措置を4月30日から強化(英国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003791.html)をご参照ください。
【藤岡 洋太 令和6年5月10日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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