欧州委員会、てん菜および砂糖の短期的需給見通しを公表(EU)
最終更新日:2024年5月14日
欧州委員会は2024年5月3日、農畜産物の短期的需給見通し(注1)を公表した。このうち、てん菜および砂糖の需給見通しの概要について紹介する。
(注1)欧州委員会は、農畜産物の短期的需給見通しを年2回(24年に年3回から年2回に減少)、中期的需給見通しを1回(12月)公表している。
てん菜の作付面積と生産量は増加
2023/24年度(10月〜翌9月)のEUのてん菜作付面積は、ポーランドなど一部加盟国の作付面積の増加により、147万ヘクタール(前年度比2.8%増)とわずかな増加が見込まれている。また、てん菜生産量は、作付面積の増加に加え、EUの平均単収が1ヘクタール当たり75.5トン(同4.1%増)とやや増加したことなどから、1億1071万トン(同7.0%増)とかなりの程度増加が見込まれている(表1)。
2024/25年度のてん菜作付面積は、断続的な降雨により土壌の湿潤状態が続いたことから播種が遅れたものの、砂糖価格の高騰に後押しされ、150万ヘクタール(同2.0%増)とわずかな増加が見込まれている。また、単収は、一部加盟国でアブラムシの発生や萎黄病のリスクが高まっているが、1ヘクタール当たり75.7トン(同0.3%増)と前年並みと見込まれている。その結果、てん菜生産量は1億1300万トン(同2.1%増)と見込まれている。
てん菜の増産を受けて砂糖輸入量は大幅減、輸出量は大幅増の見込み
2023/24年度(10月〜翌9月)の砂糖生産量は、てん菜の増産などを背景に1560万トン(前年度比6.8%増)とかなりの程度増加が見込まれている(表2)。この結果、輸入量は190万トン(同26.9%減)と大幅に減少し、輸出量は110万トン(同83.3%増)と大幅な増加が見込まれている(図1)。消費量は、前年度の砂糖価格の上昇による砂糖需要の急激な落ち込みから回復し、食用が1440万トン(同1.4%増)とわずかに、工業用が190万トン(同5.6%増)とやや、いずれも増加が見込まれている。この結果、前年度と比較して消費量は増加するものの、それを上回る供給量があるため、期末在庫量は230万トン(同9.5%増)とかなりの程度増加が予測されている。
EUの砂糖価格は引き続き高い水準で推移
EUの砂糖価格(砂糖工場渡し価格)は、てん菜生産量の減少や天然ガス価格の高騰などに伴う製造コストの上昇により、2022年秋から冬にかけて大幅に上昇し、23年2月以降、1トン当たり800ユーロ台で推移している(図2)。23/24年度も前年度の砂糖価格を上回る高い水準で推移しており、24年3月時点では、同844ユーロ(14万3159円(注2))、1キログラム当たり143円)となった。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の4月末TTS相場を使用。
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