米国農務省による世界および米国のトウモロコシ需給予測(2024年5月)
主要国のトウモロコシ生産量は微減するも、期末在庫は高水準の見通し
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は、2024年5月10日、2024/25年度最初の世界のトウモロコシ需給予測値を公表した(表1)。
これによると、同年度の世界のトウモロコシ生産量は12億1993万トン(前年度比0.7%減)とわずかに減少が見込まれている。このうち、主要生産国・地域であるブラジル、EUおよび中国は、いずれも作付面積の増加により前年度からの生産増が見込まれている。一方、作付面積が減少する米国やアルゼンチンに加え、作付面積と単収が減少するウクライナでは、いずれも前年度からの生産減が見込まれている。
輸入量は、世界全体で1億8437万トン(同0.7%減)とわずかに減少が見込まれている。このうち、EUは生産量の増加により、1800万トン(同14.3%減)とかなり大きく減少が見込まれている。一方、世界最大のトウモロコシ輸入国である中国は、前年同の2300万トンとされた。
消費量は、世界全体で12億2075万トン(同0.4%増)とわずかに増加が見込まれている。用途別に見ると、飼料向けは増加が見込まれている一方、食品・工業向けなど非飼料向けは小幅の減少が見込まれている。
輸出量は、世界全体で1億9110万トン(同3.2%減)とやや減少が見込まれている。米国は5588万トン(同2.3%増)とわずかに増加するものの、アルゼンチン、ブラジルおよびウクライナなどその他主要輸出国は、いずれも減少が見込まれている。
この結果、期末在庫はブラジルとウクライナの減少を米国の増加が補い、3億1227万トン(同0.3%減)と前年度並みの高水準を維持すると見込まれている。
米国の生産量はやや減少、生産者価格は前年度に引き続き下落
USDA/WAOBは同日、2024/25年度(9月〜翌8月)最初の米国のトウモロコシ需給見通しを公表した(表2)。
生産量は、1エーカー当たりの単収は増加するものの、作付面積の減少により、148億6000万ブッシェル(3億7746万トン(注1)、前年度比3.1%減)とやや減少が見込まれている。
消費量は、126億500万ブッシェル(3億2018万トン、同0.4%増)とわずかに増加が見込まれている。このうち、エタノール向けは、ガソリン消費量がほぼ横ばいと予想されることから前年並みとした一方、飼料など向けは、供給量の増加などからとわずかな増加が見込まれている。
輸出量は、22億ブッシェル(5588万トン、同2.3%増)とわずかな増加が見込まれている。
この結果、期末在庫は期首在庫と総供給量の増加に伴い、21億200万ブッシェル(5339万トン、同4.0%増)とやや増加し、前年度に引き続き高水準が見込まれている。
また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、14.2%(同0.4ポイント増)とわずかに前年度を上回る水準が見込まれている。
生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり4.40米ドル(695円。1キログラム当たり27.4円:1米ドル=157.90円(注2)、同5.4%安)とやや下落が見込まれている。
(注1)1ブッシェルを約25.401キログラム、1エーカーを約0.4047ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年4月末TTS相場。
【峯岸 啓之 令和6年5月15日発】
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