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アラバマ州が培養肉などの細胞性食品の製造・販売を禁止、米国で2州目(米国)

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 アラバマ州のアイビー州知事は5月7日、州内における培養肉などの細胞性食品(生物の細胞をその生物の体外で人為的に培養して得られた食品)の製造や販売などを禁止する法案に署名した。同法は10月1日より施行される。

 同州法は、アラバマ州内における細胞性食品の製造、流通、販売および保有を禁止するとしている。違反した場合は、最大3か月の懲役および500米ドル(78950円:1米ドル=157.90円(注1))の罰金に加え、食品企業は営業許可の一時停止または取消を含む処分の対象となる。ただし、政府または高等教育機関が行う細胞性食品の生産に関する研究は対象外とされた(注2)。同法案は24年2月、ウィリアムズ上院議員(共和党)により提出された。
 細胞性食品の製造や販売などを規制する法案への署名は、フロリダ州に次いで2州目となる。フロリダ州では、23年12月に法案が提出され、24年5月1日にデサンティス知事が署名を行った。同知事は「細胞性食品の普及を阻止し、州内の牛肉および肉牛農家を保護する」と目的を語った。同州法は7月1日より施行される。また、24年以降、アリゾナ州、アイオワ州、テキサス州、テネシー州を含む少なくとも7つの州において、同様の法案が検討されている。

(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年4月末TTS相場。
(注2)米国航空宇宙局(NASA)から州議会に対し、同法案が宇宙飛行士の代替タンパク質開発プログラムに与える影響について懸念の表明があり、除外されたとされる。

 
 米国では23年6月21日、米国農務省(USDA)がカリフォルニア州における細胞性食品企業2社に対し、製品の販売を認可した(注3)。そのような中、相次いで製品の製造や販売などを禁止する州法が制定されたことから、関係者は懸念を表明している。細胞性食品の普及を推進するグッドフードインスティテュート(GFI)のトゥマ立法局長は、農業上の革新を犯罪者扱いしているとして、両州の決定を批判した。また、食肉加工企業を会員とする北米食肉協会(NAMI)は24年2月21日、消費者の自由な選択を制限するべきではなく、連邦政府の決定にも反するとして、フロリダの州法に反対する書簡を送っていた。全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は、5月8日の声明において「規制当局の審査の下、消費者が食肉と細胞性食品とを選択できるよう透明性ある表示を行うことが重要」とした。

(注3)「鶏細胞性食品企業2社、米国農務省から販売認証(米国)」をご参照ください。
【小林 大祐 令和6年5月16日発】
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