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英国、2021年以来となる定型BSEの発生を確認(英国)

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 英国北部のスコットランド自治政府は5月10日、スコットランド南西部の農場において定型の牛海綿状脳症(BSE)症例が確認されたことを発表した。定型のBSEは英国で3年ぶり、スコットランドでは2018年以来の発生となる。

 スコットランド自治政府は、エアシャー州の農場にて定型のBSE症例が確認されたことを受け、対応方針に基づき発生農場などに予防的な移動制限を設けた(注1)。同自治政府のフェアリー農村大臣は「症例の迅速な特定は、疾病のサーベイランス(監視制度)が健全に機能していることを証明した。農場主の勤勉さにも感謝したい」と述べた。
 動物衛生当局は発生の原因について調査中としている。また、今回の発生は定期的な監視と厳重な管理の下で確認され、食料供給網には入っていないことから、消費者の健康リスクを脅かすものではないとした。ヴィアス首席獣医官は、今回の症例によるリスクは最小限であると保証するが、不安のある農家は獣医の助言を求めることを強く推奨すると述べた。
 英国では14年以降、今回の症例を含め5件の定型BSEが確認されており、直近の症例は21年9月、英国南部のサマセット州で発生している(注2)。また、欧州における定型BSEの発生数は少なくなっており、過去3年間における発生は今回の症例を含め英国の2件のみであった。

 牛肉輸出への影響について、ヴィアス首席獣医官は「今回の症例が貿易に影響を及ぼすべきでない。スコットランド産の牛肉は安全で、輸出は継続できる」と語った。世界獣疫事務局(WOAH)は23年5月、世界各国におけるBSEの発生状況などを考慮して基準を改訂しており、疾病が発生した場合でも、疾病の調査を行い、食料供給網に入り込まないための管理が行われていることを示すことで、貿易を継続できるとしている。英国は現在、WOAHにより「管理されたリスク」に分類されているが(図)、過去には非定型BSEの発生によって中国で輸入制限が設けられた事例もあることなどから、今回の症例が輸入先にとって輸入制限を課すきっかけとなる可能性が懸念されている。
(注1)発生農場に加えて、感染した牛の原産地となる1農場、発生農場と同じ飼料を入手可能であった2農場の計4農場に対して移動制限が設けられた。
(注2)「英国スコットランド、2009年以来となるBSE発生」(平成30年10月23日発)、「英国、3年ぶりにBSEの症例を確認」(令和3年9月24日発)をご参照ください。
図 英国におけるBSEステータス
【小林 大祐 令和6年5月20日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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