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EU理事会、共通農業政策における環境要件の緩和を承認(EU)

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 EU理事会は2024年5月13日、欧州委員会が3月に提案していた共通農業政策(CAP)の環境要件を緩和する改正案を承認した。
 EU理事会が同日公表したプレスリリースでは、「簡素化パッケージ(simplification package)」と呼ばれる今回の改正は、ここ数カ月の間、デモなどの形で表明された生産者の懸念に応え、持続可能性への野心的な取組みは維持しつつ生産者の負担軽減を図るものとされている。

見直しの主な内容

 2023年1月から開始された現行のCAPでは、直接支払いの受給要件として9項目の「良好な農業環境要件(GAEC)」が定められている。このうち、永年牧草地の保全(GAEC1および9)、浸食に脆弱(ぜいじゃく)な地域の土壌保全(GAEC5)、浸食に脆弱な期間中の土壌保全(GAEC6)、輪作の義務化(GAEC7)、休耕地の設置(GAEC8)の6項目について、下表に示す通り加盟国で適用除外となる条件を定めることが可能となるなど、要件が緩和される。

 
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 また、最大保有農地面積が10ヘクタール未満の生産者は、GAECの適用が免除されることとなった。これに該当する生産者の数はCAP受益者の65%に相当するが、農地面積では約10%を占めるに過ぎないことから、この免除によって農業環境に大きく影響することなく多くの生産者と行政機関の事務負担を簡素化できるとしている。
 EU理事会は、欧州委員会の提案からわずか2カ月で正式な承認に至ったことは、生産者の置かれている状況に迅速に対応するという欧州委員会、欧州議会およびEU理事会の決意の表れとしている。この改正は官報掲載などを経て5月末までに発効する見込みであり、改正の一部は2024年初に遡及して適用される。

関係者の反応

 EU最大の農業生産者団体である欧州農業組織委員会・欧州農業協同組合委員会(Copa-Cogeca)は、この改正を歓迎し、各加盟国に対して今回の改正を踏まえた実施規則をできるだけ早く策定するよう求めた。一方、グリーンピースなどの140団体は共同で、「今回の改正は欧州議会選挙対策であり、すでに実施されている環境保護のための取組みを損なうもの」と非難している。
 
【調査情報部 令和6年5月23日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:調査情報部国際調査グループ)
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