2023/24年度主要穀物の生産状況等の調査結果(第8回)を公表 (ブラジル)
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は5月14日、2023/24年度第8回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した(表、図1〜2)。この調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)や秋植えの冬期作物(第2期作・第3期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。
23/24年度第2期作トウモロコシは作付面積・単収の減少で、生産量は減少見込み
2023/24年度のトウモロコシ生産量は、前回より67万2100トン上方修正の1億1163万5800トン(前年度比15.4%減)と前年度をかなり大きく下回ると見込まれている。これは、トウモロコシ価格の低下などにより生産者の収益性悪化から作付面積が減少(同7.4%減)したことに加え、悪天候などにより一部の州を除き単収が減少(同8.6%減)したためである。
全生産量の5分の1を占める第1期作の生産量は、2349万トン(同14.2%減)と前年度をかなり大きく下回ると見込まれている。エルニーニョ現象の影響により23年10〜11月にかけて南部地域で大雨や日照不足となる一方、中西部や南東部地域などでは不規則な降雨、水不足および高温となり、こういった悪天候の影響からほとんどの生産州で単収が前年度を下回った。収穫作業は、5月初旬時点で作付面積の68.1%が終了した。
また、全体の4分の3程度を占める第2期作の生産量は、前回より53万8300トン上方修正の8615万5100トン(同15.8%減)と前年度をかなり大きく下回ると見込まれている。また、作付面積(同7.0%減)、単収(同9.5%減)とも前年度をかなりの程度下回ると見込まれている。地域別に見ると、最大の生産州である中西部マットグロッソ州では、土壌中の水分が十分であり作物が順調に生育しているのを始め、その他の州でもおおむね順調に生育している。ただし、中西部マットグロッソドスル州、南東部サンパウロ州、南部パラナ州の一部地域では、4月の降水量が少なく、水不足の状況となっており、今後の天候が注目されている。
23/24年度のトウモロコシ需給動向は、前述の通り生産量が減少する一方、消費量は引き続き増加(前年度比5.5%増)が見込まれている。この結果、輸出量は、国内供給量が減少する中で、米国やアルゼンチンでの豊作を背景に両国からの国際市場への供給量が増加することから、大幅な減少(同43.3%減)が見込まれている。
23/24年度大豆収穫作業は9割終了も、一部地域で悪天候などによる被害が発生
2023/24年度の大豆生産量は、前回より116万3000トン上方修正の1億4768万4800トン(前年度比4.5%減)と前年度をやや下回ると見込まれている。これまで、大豆生産量は悪天候の影響により5回連続で下方修正されたが、今回は作付け調査の結果、中西部ゴイアス州や北部パラー州などで作付面積が拡大したことで生産量が上方修正された。収穫作業は、4月初旬時点で作付面積の94.3%終了しており、最も遅い北東部マラニョン州、北部パラー州、南部リオグランデドスル州では、5月末まで行われる。
今回、大豆生産量が上方修正される一方で、マットグロッソドスル州やリオグランデドスル州では、悪天候などによる生産への影響がみられる。主産地あるリオグランデドスル州では作付面積の75%で収穫作業が終了したが、4月末から発生した大雨により一部の地域で洪水が発生するなど、収穫作業の遅れや穀物の品質低下などの影響が及んでいる。このため、同州の生産量は、単収の低下により下方修正された。
【井田 俊二 令和6年5月24日発】
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