中国畜産団体が牛肉の品質などに関する団体基準の策定に着手(中国)
中国の食肉関係業界団体である中国肉類協会は5月8日、牛肉の品質についての団体基準を策定するための検討会などを北京市内で開催した。この中で、畜産物一般に関する団体基準の策定や輸出対象国の基準に合致することの重要性などが示された。
中国には、政府が定める国家基準、業界基準のほか、業界団体が自主的に定める団体基準がある。その団体の会員を中心として企業が自主的にその基準以上の品質を目指すようになることから、業界や、生産、加工、流通などの工程、また、商品の種類を問わず、あらゆる分野や物の質の向上を図るため、中国政府は団体基準の策定を促しており、近年、業界団体による基準の策定が進められている。
同協会は現在、団体基準として「生体豚と畜ライン施設整備技術規範」案を策定し、会員の意見を募っている。
牛肉の品質向上に向けた基準検討会の開催
主催者である中国肉類協会の陳秘書長は、検討会の開催趣旨について次のように発言した。
中国の肉牛産業は目覚ましい発展を遂げているものの、世界市場においてはいまだ「大国ではあるが強国ではない」状況にあり、先進的なレベルと距離がある。また、近年は国内牛肉市場で価格低迷が続いていることから、業界全体が圧力を受けている。中国牛肉産業が直面する主な課題の一つに、中国国内で流通する牛肉および牛肉加工製品の品質管理体系が不十分であることが挙げられる。世界的に競争が激しさを増す中、牛肉および牛肉加工製品の品質と安全性、そして国際競争力を高めるために、牛肉産業における基準の整備が強く求められている。
続いて、中国農業科学院北京畜牧獣医研究所の張所長が、畜産業全体が厳しい環境に置かれている今、現在の産業構造と市場で活躍する企業の取組を踏まえて消費者ニーズに合う牛肉品質基準を定めることは、業界の健全な発展を促すと発言した。
また、同研究所の優良機能畜産品創設チームは、中国における牛肉の生産特性、消費習慣、調理方法などに関する調査結果を紹介するとともに、「中国式牛肉調理方法」に関する基準の策定を提案し、消費者の満足度と商品の客観的な品質とを密接に関連付けることができる中国独自の牛肉品質等級体系を構築すべきであると発表した。
検討会には、同研究所などの政府関係機関のほか、他の研究機関、学術機関および肉牛関係企業の代表50名あまりが参加し、肉牛産品を突破点として産業レベルの向上を図り、力を合わせて肉牛産業の体系化、規範化を進めていくことが確認された。
ハム製品の輸出拡大に向けた交流会の開催
別途開催された交流会において、中国肉類協会の陳秘書長は、開催趣旨について次のように発言した。
中国のハム製品は国内外で評価されているが、輸出に関しては依然として課題が多く、特に、EU諸国の厳格な基準をどう満たしていくかが課題となっている。技術とデータを下支えとして、ハム製品の安全性と品質を向上させ、国際市場との交流を強化し、市場動向に対応していく必要がある。
続いて、中国動物衛生・流行疫病学センターの範副所長が、原料から着手することが重要であり、ハム製品の原料となる食肉と、と畜および加工技術が国際基準に合致することを確保しなければならないと発言した。範副所長はさらに、輸出対象国を定め、当該国が求める輸入基準に合致することを目標としてハムの生産や梱包などを行う必要があること、また、目標とする市場の基準とニーズを理解し、適応させることが円滑な輸出に不可欠であることを強調した。
また、中国肉類協会ハム製品分科会の劉秘書長は、今後、国際市場の動向と輸入国の基準を研究する専門プロジェクトを立ち上げる予定であること、また、関係機関との協働により、中国ハム製品の円滑な輸出を推進していくことなどを紹介した。
交流会には、ハム製品の輸出に取り組む企業代表が参加した。
【調査情報部 令和6年5月28日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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