国際情報コーナー 農畜産物全般、畜産、野菜、砂糖、でん粉の海外情報、輸出促進対策などの記事、統計

ホーム > 国際情報コーナー > 海外情報 > 海外情報(野菜) > 中国農業農村部、不適切な農作物の種苗登記を抹消(中国)

中国農業農村部、不適切な農作物の種苗登記を抹消(中国)

印刷ページ

最終更新日:2024年5月28日

 中国農業農村部は4月23日、非主要農作物品種登記制度に基づいて登記されていた、ひまわり、きゅうり、すいかなどのうち、問題があると認められた312個の品種について登記を抹消したと発表し、その抹消済み品種リストを公表した。
 これは、2021年以降、農業農村部が「偽種子」対策と銘打って実施してきた取り組みであり、今回で6回目の登記抹消措置となる。

非主要農作物品種登記制度の概要

 「非主要農作物品種登記制度」とは、2017年に当時の農業部が種子法に基づいて制定した非主要農作物品種登記弁法(省令に相当)に基づく制度である。主要農作物を稲、小麦、とうもろこし、綿花および大豆とし、これら以外を非主要農作物とした上で、それらの中で農業農村部が指定する作物の種苗を販売しようとする種苗事業者には事前にその品種の登記が求められている。植物の新品種に関する育成者権を保護する種子法とは異なり、適正な種子・種苗の供給・流通を確保することにより農民の収益向上を目指す制度である。
 登記に当たっては、登記後の登記証書(図)に記載されることとなる品種名称、登記申請者、品種育成者などの情報のほか、は種に適した地域および季節の情報などを申告する必要がある。また、正当な育成権者の同意があることや、形質が安定していることなどが登記条件とされ、登記申請に当たっては、品種特性、育種過程に関する情報、形質の安定性に関する栽培結果などを提出する必要がある。
図 非主要農作物品種登記証書の様式

「偽種子」対策の概要

 農業農村部は、2021年以降、登記品種の管理、新品種育成の促進および公平な競争を支える市場環境の整備、ひいては種苗市場の振興を目的として「偽種子」対策を実施してきた。非主要農作物の中でも対策の対象とする作物を定めており、今回の措置によりひまわりについては不適切な登記の抹消が全て終了し、偽種子の淘汰(とうた)が完了したとして、今後もきゅうり、すいかなどで不適切な登記の抹消を継続し、いずれは偽種子の淘汰を目指すとしている。
 同部によれば、この取り組みに対して中国種苗業界からは、3年にわたる取り組みによって種苗市場からの不良品の淘汰が進み、種苗の創出・保護が効果的に行われたことで、品種開発に向けた投資を拡大しようとする企業の意欲と決心が固いものになったとの評価が出ている。また、食用ひまわりの種苗大手企業は、同社が開発した品種の市場占有率は取組実施前の30%から40%以上に回復、成長したという。食用ひまわりの収益についても、取組実施前から単収が10%増加し、生産者の収益向上に貢献しているほか、農家による国産品種への評価も高まっている。
 農業農村部は、今後も種苗産業の振興に向けて市場の浄化を進め、登記される品種の品質向上を図り、これにより、単収の増加と国民の生活の質の向上を図る、としている。

【調査情報部 令和6年5月28日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9530