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フォンテラ社、23/24年度乳価の据え置きと24/25年度当初乳価を発表(NZ)

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 ニュージーランド(NZ)乳業最大手のフォンテラ社は2024年5月29日、2023/24年度(6月〜翌5月)の生産者支払乳価を前回公表(同年3月21日)から据え置き、生乳の固形分(注1)1キログラム当たり平均7.8NZドル(764円、1NZ=97.96円(注2))にすると発表した。同年度の生産者支払乳価について同社は、これまで7回にわたり期中見直しを行っており、前回公表に続き2回連続の据え置きとなった(図)。
 また、同社は同日、24/25年度の当初乳価を同8.0NZドル(784円)にすると発表した。このことについて、同社のハレル最高責任者は、「生乳の需給バランスはかろうじて均衡を保っている状態にあり、中国の乳製品輸入量はまだ歴史的な水準まで回復していない」と述べ、「世界市場の不確実性などのリスクを考慮し、当初乳価を慎重に設定した」とコメントした。

(注1)乳脂肪分および乳タンパク質。 
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年5月末TTS相場。
図 フォンテラ社の生産者支払乳価の推移
 さらに同社は、23/24年会計年度(8月〜翌7月)第3四半期(2月〜4月)までの業績を公表し、継続事業の税引き後利益が2000万NZドル(19億6000万円)増の10億1300万NZドル(992億3000万円、前年同期比2.0%増)となったことを明らかにした(表)。これについて同社は、乳製品の商品価格は下落したが、外食部門や消費者部門の販売量の増加や営業費用の減少などが、これを相殺したとしている。これにより、1株当たりの配当金(注3)をこれまでに公表している0.5〜0.65NZドル(49〜64円)から0.6〜0.7NZドル(59〜69円)へと上方修正し、23/24年度の配当金は好調との見込みを示した。
 
(注3) 通常、フォンテラ社へ生乳を出荷する生産者は、生乳出荷実績に応じてフォンテラ社の株式を取得する(生乳の固形分3キログラムに対して最低1株)。このため、最終的に生産者に支払われる金額は、生産者支払乳価と配当金を合わせた金額となる。

 
表 フォンテラ社 第3四半期までの業績の推移
 また、同社は、23/24年度4月までの累計生乳集乳量について、搾乳期の天候不良が牧草の生産と品質に影響したことで、140万4000トン(同0.4%減)とわずかに減少したと発表した。また、年度全体でも146万5000トン(前年度比1.0%減)とわずかな減少を見込んでいる。
【工藤 理帆 令和6年6月5日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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