カナダ農業・農産食料省、アフリカ豚熱対策の予算措置を発表(カナダ)
カナダ農業・農産食料省(AAFC)は5月17日、アフリカ豚熱(ASF)の国内侵入防止・発生予防対策の強化を目的とした2024/25年度(4月〜翌3月)のASF対策プログラムに、最大964万5600カナダドル(11億2000万円:1カナダドル=116.15円(注))を措置すると発表した。同プログラムは2022年に新設され、ASF対策として掲げる五つの優先分野に基づき、業界関係団体や食肉処理加工業者(パッカー)の取り組みを支援するものである(表)。今回の予算措置は同プログラムで承認された29のプロジェクトに分配され、各プロジェクトは25年3月末までの完了が求められている。
カナダ国内では、これまでASFの発生はないものの、21年にドミニカ共和国など北米大陸周辺でASFの発生が確認されて以来、ASFの国内侵入防止・発生予防対策の強化を行っている。今回の予算措置についてマコーリー農業・農産食料大臣は、ASFを含む家畜伝染病は、カナダの豚肉産業界にとって深刻な脅威であり、政府と業界のすべての部門が予防と準備を講じることが極めて重要であるとした上で、「これらのプロジェクトは、ASFの発生を防ぎ、カナダ豚肉産業の準備を万全にする重要な取り組みの一つである」と述べている。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年5月末TTS相場。
豚肉産業界の反応
今回の予算措置について、業界関係団体は以下の通り称賛のコメントを公表している。
○ カナダ豚肉協議会(ロイ会長)
カナダ豚肉協議会は、同プログラムを通じてAAFCとASF対策に向けて協働できることを嬉しく思う。同プログラムはカナダ豚肉産業の強靭性と持続可能性を維持するもので、カナダの安全で高品質な豚肉製品の供給国としての権威を維持するものである。
○ ケベック州豚肉生産者組合(ロイ会長)
カナダ政府のASF対策への取り組みに感謝する。今回の予算措置は、豚肉および豚肉加工品の貿易を行う国々とのゾーニング適用措置と同様に重要である。
【伊藤 瑞基 令和6年6月10日発】
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