ドイツ・ヘッセン州の野生イノシシで初のアフリカ豚熱発生(EU)
ドイツ中部のヘッセン州は2024年6月16日、同州で初めてアフリカ豚熱(ASF)の発生が確認されたと発表した。
同州の発表によると、同州南部のリュッセルスハイム近郊で発見された野生イノシシの死体を国立研究所が検査したところ、6月15日にASF陽性と診断された。(図)。
ヘッセン州政府当局によると、ASF発生確認後、発生場所を中心に半径15キロメートルを制限区域とし、同区域内の豚の移動やふん尿散布などが禁止されている。また、当該区域での狩猟が全面的に禁止され、現場周辺のイノシシの死体捜索を強化している。
これまでのところ、ASFの感染が確認された野生イノシシは1頭のみであり、付近で発見された2頭の野生イノシシの死体で行ったASFウイルス検査の結果は陰性であった。
今回ASFの発生が確認されたヘッセン州は、ドイツの金融や工業の中心であるフランクフルトが所在し、世界最大級のハブ空港であるフランクフルト空港を有している。また、養豚主要産地であり、ASF未発生のノルトライン・ヴェストファーレン州やバイエルン州と州境を接している。ヘッセン州では、食品残さなどを通じてASFが発生地域から持ち込まれるリスクを危惧して、探知犬などによる野生イノシシの死体捜索の強化などの対策を行っていた。
ドイツ狩猟協会の広報担当であるラインヴァルト氏は、現地のインタビューで「今回のASFはソーセージなどの豚肉加工品の廃棄物を通じて現地に持ち込まれた可能性がある」と述べた。
ドイツのASF発生状況
ドイツでは、2020年9月に東部のブランデンブルク州の野生イノシシでASFが確認されて以降、これまでに野生イノシシは4州(ヘッセン州を含む)、飼養豚は4州で発生が確認されている。
野生イノシシでの発生確認件数は21年をピークに減少傾向が続いているが、24年6月5日には1年4カ月ぶりに飼養豚でのASF発生が確認されていた
(注)(表)。
(注)海外情報「ドイツの飼養豚で約1年半ぶりにアフリカ豚熱を確認(EU)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003832.html)をご参照ください。
飼養豚でのASF発生による影響
2024年6月5日のメクレンブルク・フォアポンメルン州の飼養豚でのASF確認により、同養豚場から豚を受け入れていたドイツ食肉大手の食肉処理場は5日間操業を停止し、受け入れた豚のASFウイルス検査、施設内の清掃、消毒を行い、ウイルス検査により陽性となった個体の豚肉は市場流通しないよう処分された。また、2023年9月から再開している韓国向けの輸出について、同食肉処理場からの輸出ライセンスが停止されている。
【藤岡 洋太 令和6年6月19日発】
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