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米国農務省、国産肥料の増産に向けた追加的な支援を発表(米国)

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最終更新日:2024年6月20日

 米国農務省(USDA)は5月23日、米国の肥料産業に対する追加的な支援の実施を発表した。国産肥料の増産への支援によって新たな企業に経済的な機会を提供し、競争を生じさせることで農家のコストを削減することが目的とされている。
 米国農務省地域振興局(USDA/RD)は、新たな産業の創出および成長を促進するため、財政的・技術的な支援を行うプログラムを複数運用している。米国では、ロシアによるウクライナ侵攻や肥料産業における競争環境の欠如などの要因から、2021年から22年までの間に肥料価格の大幅な高騰(2倍以上)が生じた。このためUSDA/RDは、バイデン政権による米国内の投資拡大戦略「Investing in America」(注1)の一つとして、22年から新たに肥料生産拡大プログラム(FPEP)を開始(注2)している。

(注1)これまでに国外への移転が拡大してきた製造業を、米国へ回帰させ、高賃金の雇用を生み出し、国産の資材を活用した道路や橋の建設などの公共事業への投資を行うもの。
(注2)「【海外情報】米農務省、国産肥料の増産に向けた支援を開始(米国)(令和4年10月12日発)」も併せて参照ください。
 FPEPは、米国内の肥料産業において新たな競争を生み出すための投資プログラムであり、肥料および土壌中の栄養素を代替する製品の製造・加工およびサプライチェーンを強化するための費用を支援している。具体的に本プログラムを活用する中で、食品残を活用した有機肥料の製造施設の建設や、既存の肥料製造施設の拡張などが行われている。この投資プログラムでは、肥料の主要元素である窒素、リン酸、カリウムに対して大きなシェア(市場占有率)を持つ事業者の利用はできず、新たな事業者の参入を促しながら肥料産業内での競争を生み出し、肥料価格の下落および生産者のコスト削減を図っている。
 FPEPでは、総計9億米ドル(1420億円:1米ドル=157.74円(注3))を上限に支援することとしており、これまで、29の州の57件で総額2億5100万米ドル(396億円)を支援している。今回、新たに17件で8300万米ドル(131億円)の支援(注4)を行うこととしている。

(注3)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年5月末TTS相場。
(注4)詳細な内容については、USDA/RDのウェブページ(https://www.rd.usda.gov/media/file/download/usda-rd-chart-fy24-fpep-5-23-24.pdf)をご覧ください。
 USDAでは、世界的なサプライチェーンの混乱や農業資材高騰による影響を受け、FPEPを通じた肥料の増産に加え、米国内で大豆またはソルガムなどを裏作とする二毛作を推進している。また、生産者がより効率的に農地を活用できるよう、施肥の計画に対する技術的な支援も強化しており、増産・コスト削減による国民への食料の安定供給および価格高騰の抑制に取り組んでいる。
【中島 勝紘 令和6年6月20日】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:中島勝紘)
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