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フランス産・アイルランド産牛肉の韓国向け輸出が23年ぶりに解禁(EU)

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 欧州委員会は2024年6月13日、フランス産およびアイルランド産牛肉について、2001年の牛海綿状脳症(BSE)の発生以来禁輸措置がとられていた韓国への輸出が解禁されたと発表した。韓国は01年にEU加盟15カ国からの輸入を禁止した後、19年にデンマークとオランダ産牛肉を解禁しており、今回はそれに続く2例目(計4カ国)となる。
 
(注)今回輸入が解禁されるのは、30カ月月齢以下の牛肉(骨付きを含む)と牛臓器。
 
 欧州委員会は、他の加盟国の韓国向け牛肉輸出の早期再開と、それに伴う韓国とのさらなる貿易関係の深化を期待するとしている。
 23年の韓国の牛肉輸入量は47万3000トンであり、このうち米国と豪州の2カ国で輸入量全体の9割以上を占めている。欧州からの輸入量はわずかであるが、デンマークからは486トン、オランダからは42トンが輸入された(表1)。
表1
 ブリュッセルの現地報道では、今回の輸出再開を、フランスとアイルランドの牛肉産業にとって歓迎すべきものとしている。

アイルランド政府の反応

 アイルランド政府によると、すでに国内7工場が韓国から輸出認定を受けており、同国のヘイドン国務大臣は、さらに認定工場が増えるよう韓国政府と協力していくと述べている。

フランスの牛肉需給状況

 フランスは、EU加盟国最大の牛肉生産国であるが、近年は生産コストの増加による収益性の低下や環境規制の強化などにより、飼養頭数、牛肉生産量ともに減少傾向で推移している。需要面についても、国内向け、輸出向けともに牛肉価格の上昇による消費減退から減少傾向で推移している。
 同国の行政機関であるFrance AgriMer(国立農水産品機関)が2024年3月に公表した報告書の中で、24年のフランスの牛肉需給について触れている。これによると、建設費の上昇や高金利が新規投資を抑制する一因となっていることから、生産量は前年比2.0%減の128万トンと見込まれている。また、インフレの緩和、賃金上昇の兆しに加え、パリ・オリンピック開催期間中の観光需要により国内消費は前年並みを維持するものの、国際市場での競争力低下から、輸出量は同2.1%減の21万トンと見込まれている(表2)。
表2
【調査情報部 令和6年6月27日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:調査情報部国際調査グループ)
Tel:03-3583-4397