カナダ農業・農産食料省(AAFC)は6月27日、同国の有機(オーガニック)農業を推進するため、二つの有機農業団体に対し、合計200万カナダドル(2億3804万円:1カナダドル=119.02円(注1))以上の支援を行うと発表した。
カナダ国内の有機農畜産物の市場規模は、消費者の関心の高まりなどから年々、拡大傾向にある。有機農畜産物の年間売上額を見ると、2017年の54億カナダドル(6427億1000万円)から、22年には102億6000万カナダドル(1兆2211億5000万円)と、直近5年間で1.9倍に拡大している(図1)。また、世界では米国、ドイツ、中国、フランスに次ぐ第5位の市場規模となっており、今後も拡大が見込まれている(図2)。
このような中でAAFCは24年2月、持続可能な有機農法や動物福祉に関する内容を含む支援を発表していた。
今回の支援は、カナダの有機農畜産物の生産拡大、国内市場の開拓、輸出拡大を目的とし、有機農業および製品の貿易に関する業界団体であるカナダオーガニック貿易協会(COTA)と、有機農業向けの基金を運営するプレーリーオーガニック開発基金(PODF)が対象とされた。具体的な支援額として、COTAに対しては、農業マーケティングプログラム(注2)の下、3年間で最大117万5841カナダドル(1億3995万円)が拠出され、国際見本市の開催や貿易使節団の派遣・受入、販売促進活動などが行われる。また、PODFに対しては、農業競争力プログラム(注3)の下、3年間で最大98万5985カナダドル(1億1735万円)が拠出され、生産者向けの教育プログラムやツールの構築を通じて生産拡大を図るとともに、関連データの集計や測定、比較分析を行い、有機農畜産物への信頼を高めるとしている。
今回の発表に対し両団体は、カナダの有機農業の競争力向上につながるとして政府による支援を歓迎した。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年6月末TTS相場。
(注2)業界主導の販売促進活動などを通じて、カナダ農畜産物の国内消費拡大および輸出拡大を図る政府プログラム。
(注3)業界と生産者との情報共有などを通じて、農業分野の成長、気候変動や環境対策、農業経済の安定を図る政府プログラム。