食品ロス・食品廃棄物の削減および有機物リサイクルとして、以下の4つの取り組みを戦略の柱としている。
- 食品ロスの削減:食品ロスを防ぐために収穫や調達の精度を高めるだけではなく、農産物の貯蔵施設整備への融資、保存期間を延ばすことにつながる品種改良やポストハーベスト(収穫後の管理技術)の開発、製造・加工・流通段階のロスを削減するための品質モニタリングや包装資材開発の支援
- 食品廃棄の防止:キャンペーン・啓蒙活動の展開だけではなく、民間部門との協力による包装デザインの変更、単位容量の縮減、日付表示の改善を行う。また、食品の寄付を促進するため、余剰食品が発生しやすい地域のマップ化や、税額控除の提供、寄付した食品に対する提供者に課せられる責任の軽減措置を講じる
- 廃棄される有機物のリサイクル率の向上:有機廃棄物のたい肥化や嫌気性分解、バイオ炭製造に対する支援、リサイクル製品の市場拡大促進、レンダリングや昆虫養殖による環境指標の改善効果測定や、リサイクルによるメタン削減量の評価、難分解性化学物質の混入防止や生分解性資材への支援
- 上記3つの取り組みに関わる政策関係者に対する教育・支援の実施
国家戦略の策定を受けて、食品ロス・食品廃棄物の削減に取り組んできた団体やたい肥業界は、おおむね称賛を表明しているが、食品の期限表示に関するルールについては、さらなる政府の関与が必要であるとしている。
また、北米レンダラー協会(NARA)
(注3)は、国家戦略内でレンダリングに関して言及したことに加え、(1)食品廃棄物からリサイクルされた製品の公的機関による利用拡大、(2)食品ロス・食品廃棄物に関するデータ整備やリサイクルによる環境面への影響評価の実施、(3)商品ロスや廃棄物の回収、(4)リサイクルを促進するための予算の割り当て、について評価するとしている。
一方で、レンダリングが年間約2450万トンものと畜副産物や食肉残さなどの廃棄物を回収し、食品ロス・食品廃棄物の削減に多大な貢献をしているにも関わらず、取組の柱にレンダリングを具体的に位置づけていないことに対しては失望感を表明している。
(注3)北米レンダラー協会は米国を拠点としており、主にと畜副産物、食肉産業で生じた骨などのレンダリングを取り扱う。全国団体として、と畜副産物の利用拡大のため政府機関との協議などを実施している。また、レストランから生じる廃油の回収も取り扱っている。