FMMO制度では、2018年に加わったカリフォルニア州を含めた11の地域内で取り引きされる生乳を対象として、USDAが最低取引価格を設定している。
最低取引価格は、用途別にクラスTからW
(注2)まで設定される。乳業会社には、毎週のバター、チェダーチーズ、脱脂粉乳、ドライホエイの卸売価格と販売量の報告が義務付けられており、クラスT〜Wの最低取引価格は、これらの卸売価格からUSDAが定める算定式によって毎月算定・公表される
(注3)。
算定式の考え方としては、乳脂肪および脱脂乳成分の重量当たり価格(以下「単価」という)を算出し、それぞれの含有割合「乳成分係数」を乗じて足し上げることでクラスT〜Wの最低取引価格を算定するというものである。
乳脂肪の単価はクラスT〜Wで共通とされるが、脱脂乳成分の各単価はそれぞれのクラスで算出する。また、それぞれの成分単価は、乳製品の卸売価格から「製造コスト見合い」を差し引いた上で、歩留まり係数
(注4)を乗じて算出することが基本となる。
(注2) 飲用乳(バターミルクを含む)はクラスT、アイスクリーム、ヨーグルト、カッテージチーズなどのソフト製品はクラスU、ハードチーズ、クリームチーズおよびホエイなどのハード製品はクラスV、バターおよび脱脂粉乳などのドライ製品はクラスWに分類される。
(注3) 最低取引価格の具体的な算定方法については、『畜産の情報』2024年7月号「米国酪農経営の動向と乳価形成について」をご参照ください。
(注4) 1ポンドの乳成分を使って製造される乳製品重量。例えば、現行規則では1ポンドの乳成分を使って製造されるバターは1.211ポンドとされているため、歩留まり係数は1.211となる。
さらに、クラスU〜Wの設定は11の地域で統一されているが、クラスTは基準価格に用いられており、算定された「クラスT基準価格」に群単位で設定されている「クラスT差額」を上乗せした価格が最低取引価格に適用される。これは、生乳供給が需要に対して不足する地域での生乳生産・供給量確保を目的としたものであり、各地域の需給バランスの実態に合わせた差額としている。