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米国農務省による世界および米国のトウモロコシ需給予測(2024年7月)

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米国などの増産見込みを受けて期末在庫は高水準の見通し

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2024年7月12日、2024/25年度の世界のトウモロコシ需給予測値を公表した(表1)。
表1 主要国のトウモロコシの需給見通し(2024年7月12日米国農務省公表)
 これによると、同年度の世界のトウモロコシ生産量は12億2479万トン(前年度比0.1%減)と前月から425万トン上方修正された。地域別に見ると、カナダでは作付面積、EUとロシアでは単収がそれぞれ下方修正されたことで、生産量も下方修正された。一方で、米国では作付面積の上方修正に伴い生産量も610万トン上方修正された。
 輸入量は、1億8651万トン(同1.0%減)と前月から35万トン上方修正された。主要国はいずれも据え置かれたが、カナダやメキシコでの上方修正がイランやバングラデシュの下方修正を上回った。
 消費量は、12億2228万トン(同0.3%増)と前月から12万トン上方修正された。このうち、中国は前月から据え置かれたが、米国での上方修正がウクライナやEUの下方修正を上回った。
 輸出量は、1億9181万トン(同4.5%減)と前月から6万トン上方修正された。ブラジルやアルゼンチンは前月から据え置いたが、生産量の増加を背景とした米国の上方修正が大きく反映された。
 この結果、期末在庫は3億1164万トン(同0.8%増)と前月から87万トン上方修正され、引き続き高水準を維持すると見込まれている。

作付面積の拡大に伴い生産量は上方修正、生産者販売価格は引き続き低迷

 USDA/WAOBは同日、2024/25年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを公表した(表2)。
表2 米国のトウモロコシの需給見通し(2024年7月12日米国農務省公表)
 生産量は、作付面積と収穫面積の上方修正を受けて、151億ブッシェル(3億8356万トン(注1)、前年度比1.6%減)と前月から上方修正され、前年度からわずかに減少すると見込まれている。
 米国内消費量は、126億8000万ブッシェル(3億2208万トン、同0.4%増)とわずかな増加が見込まれている。このうち、飼料等向けは、供給量の増加などからわずかな増加が見込まれている。
 輸出量は、生産量の上方修正などを背景に22億2500万ブッシェル(5652万トン、前年度同)と上方修正された。
 この結果、総供給量が総消費量を上回り、期末在庫は20億9700万ブッシェル(5327万トン、同11.7%増)と前月から下方修正されたものの、高水準だった前年度をかなり大きく上回ることが見込まれている。
 また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、14.1%(同1.5ポイント増)と前年度からわずかな増加が見込まれている。
 生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり4.30米ドル(697円。1キログラム当たり27.4円:1米ドル=162.07円(注2)、同7.5%安)とかなりの程度下落が見込まれている。
 今回の作付面積と収穫面積の上方修正は、米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が6月28日に公表した作付面積の調査結果に基づいており、作付面積である9150万エーカー(3703万ヘクタール、前年比3.3%減)は、統計が開始された1944年以降で8番目の規模となっている。
 ただし、今回の予測では、23/24年度の米国の消費量と輸出量が前月からそれぞれ191万トン上方修正されたことなどから、同年度の期末在庫が下方修正され、24/25年度の期末在庫に反映される形となった。

(注1)1ブッシェルを約25.401キログラム、1エーカーを約0.4047ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年6月末TTS相場。
【岡田 真希奈 令和6年7月19日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4396