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豪連邦政府、高病原性鳥インフルエンザ発生に対する支援策を公表(豪州)

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 豪州連邦政府のワット農相は7月10日、国内各地で発生する高病原性鳥インフルエンザに関し、まん延防止や早期終息に向けて、総額690万豪ドル(7億5210万円:1豪ドル=109.00円(注1))の対策を公表した(表)。
 
 (注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年6月末TTS相場。
表 豪州連邦政府による鳥インフルエンザ対策
 このうち、豪州のバイオセキュリティシステムの機能を向上させ、ヒトや動物の健康に関する国際的な情報共有や水際対策の強化、疾病の発生監視強化などの発生リスクの特定と軽減を目的とした活動(ワンヘルス・サーベイランス・イニシアティブ)に220万豪ドル(2億3980万円)の予算が措置された。この活動は、国際獣疫事務局(WOAH)の第90回総会で、野生動物の健康リスク管理に関する協力機関として承認されたワイルドライフ・ヘルス・オーストラリアが実施するものであり、2022年から活動が開始されている。また、家畜衛生に関する政府機関のアニマルヘルス・オーストラリアが実施する、鳥インフルエンザワクチンの利用可能性の調査などの蔓延防止策の支援に195万豪ドル(2億1255万円)の予算が措置されている。

 2024年5月、4年ぶりに豪州で発生した高病原性鳥インフルエンザ(注2)は、最初の発生地であるビクトリア州からニューサウスウェールズ(NSW)州、首都特別地域(ACT)へと感染が拡大した(図)。同年7月16日時点で全11戸の養鶏農家で発生するとともに、移動制限管理区域設定などの防疫措置が執られている。連邦政府および州政府は、本発生に伴う鶏の殺処分羽数を公表していないが、現地報道によると、殺処分対象のほとんどが採卵鶏であり、殺処分羽数は豪州全体の採卵鶏飼養羽数の約8%に当たる150万羽以上とされている。
 これを受けて、豪州の小売大手コールス(6月9日以降、西オーストラリア州を除くすべての州および準州)やウールワース(6月27日以降、NSW州・ACT・ビクトリア州)では、消費者に対し、1人当たり2パック(通常1パックは12個入り)までという鶏卵の購入制限を導入している(写真)。

 (注2)海外情報「豪州で4年ぶりとなる高病原性鳥インフルエンザが発生(豪州)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003818.html)をご参照ください。
図 高病原性鳥インフルエンザの発生場所(2024年7月12日時点)
写真 小売店の閑散とした鶏卵の棚と購入制限を知らせるPOP(2024年7月、シドニー市内のウールワースで撮影)
 一部現地報道では、今般の発生は渡り鳥が鳥インフルエンザウイルスを豪州国内に持ち込んだとしており、豪州で生産される鶏卵の約半数がフリーレンジ(野外放し飼い)による採卵養鶏システム由来であることが、バイオセキュリティ上の問題となっていることを指摘している。22年8月に豪州農林水産省が制定した家きんのアニマルウェルフェア基準およびガイドラインでは、36年までに従来型の採卵鶏の飼養ケージ(バタリーケージ)を段階的に廃止する方針としている。また、小売市場の75%のシェア(市場占有率)を占める大手小売りのウールワース、コールス、アルディの3社では、25年までに自社製品のバタリーケージ卵の取り扱いを廃止する方針としている。
 豪州の養鶏業界は、どのような形でバイオセキュリティとアニマルウェルフェアを両立させるのか、今後の動きが注目されている。
【調査情報部 令和6年7月19日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9530