このうち、豪州のバイオセキュリティシステムの機能を向上させ、ヒトや動物の健康に関する国際的な情報共有や水際対策の強化、疾病の発生監視強化などの発生リスクの特定と軽減を目的とした活動(ワンヘルス・サーベイランス・イニシアティブ)に220万豪ドル(2億3980万円)の予算が措置された。この活動は、国際獣疫事務局(WOAH)の第90回総会で、野生動物の健康リスク管理に関する協力機関として承認されたワイルドライフ・ヘルス・オーストラリアが実施するものであり、2022年から活動が開始されている。また、家畜衛生に関する政府機関のアニマルヘルス・オーストラリアが実施する、鳥インフルエンザワクチンの利用可能性の調査などの蔓延防止策の支援に195万豪ドル(2億1255万円)の予算が措置されている。
2024年5月、4年ぶりに豪州で発生した高病原性鳥インフルエンザ
(注2)は、最初の発生地であるビクトリア州からニューサウスウェールズ(NSW)州、首都特別地域(ACT)へと感染が拡大した(図)。同年7月16日時点で全11戸の養鶏農家で発生するとともに、移動制限管理区域設定などの防疫措置が執られている。連邦政府および州政府は、本発生に伴う鶏の殺処分羽数を公表していないが、現地報道によると、殺処分対象のほとんどが採卵鶏であり、殺処分羽数は豪州全体の採卵鶏飼養羽数の約8%に当たる150万羽以上とされている。
これを受けて、豪州の小売大手コールス(6月9日以降、西オーストラリア州を除くすべての州および準州)やウールワース(6月27日以降、NSW州・ACT・ビクトリア州)では、消費者に対し、1人当たり2パック(通常1パックは12個入り)までという鶏卵の購入制限を導入している(写真)。
(注2)海外情報「豪州で4年ぶりとなる高病原性鳥インフルエンザが発生(豪州)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003818.html)をご参照ください。