米国農務省による世界の大豆需給予測（2024年8月）

　米国農務省世界農業観測ボード（USDA/WAOB）および米国農務省海外農業局（USDA/FAS）は2024年8月12日、2024/25年度の世界の大豆需給予測値を更新した（表）。

　これによると、同年度の世界の大豆生産量は4億2873万トン（前年度比8.5％増）と前月から688万トン上方修正された。このうち、最大の生産国であるブラジルは1億6900万トン（同10.5％増）、これに次ぐ米国は1億2490万トン（同10.2％増）、アルゼンチンは5100万トン（同4.1％増）と、米国を除きいずれも前月から据え置かれた。米国は、単収が前月の1エーカー当たり52.0ブッシェル（1ヘクタール当たり3.26トン^（注1））から同53.2ブッシェル（同3.34トン）へと上方修正されたのに加え、作付面積および収穫面積もそれぞれ100万エーカー（40万ヘクタール（注1））上方修正されたことで増加した。また、中国は2070万トン（同0.7％減）と据え置かれた。
　輸入量は、世界全体で1億7728万トン（同0.2％増）と前月から88万トン上方修正された。このうち、最大の輸入国である中国は1億900万トン（同2.2％減）と前月から据え置かれた。
　消費量（搾油仕向け）は、世界全体で3億4658万トン（同5.1％増）と前月から90万トン上方修正された。このうち、最大の消費国である中国は1億300万トン（同4.0％増）と前月から据え置かれた。
　輸出量は、世界全体で1億8122万トン（同2.2％増）と前月から102万トン上方修正された。このうち、最大の輸出国であるブラジルは1億500万トン（前年度並み）と据え置かれたが、これに次ぐ米国は生産量の増加を反映して5035万トン（同8.8％増）と前月から68万トン上方修正された。
　この結果、期末在庫は1億3430万トン（同19.5％増）と前月から654万トン上方修正された。これは、米国などの生産増に加え、23/24年度の中国の輸入量が350万トン上方修正されたことで、同年度の世界全体の期末在庫も111万トン上方修正されたことが反映されている。
　今回の予測では、米国などの大豆生産が増加する中で、世界全体の輸出量や消費量も増加とされたが、市場関係者の当初予想を上回る期末在庫であることから、USDAは米国の生産者販売価格を引き下げ、1ブッシェル当たり10.80米ドル（1657円、1キログラム当たり65円：1米ドル＝153.44円^（注2）、前年度比13.6％安）と見込んでいる。
　また、今回の内容に関して輸入量に目を向けると、同日付で中国農業農村部が公表した同年度の中国の大豆輸入量は9460万トンと前月から据え置かれており、期末在庫が増加する中で、引き続きこの乖離が注目される。

（注1）1ブッシェルを約25.401キログラム、1エーカーを約0.4047ヘクタール、として農畜産業振興機構が換算。
（注2）三菱UFJリサーチ＆コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年7月末TTS相場。