肥育牛需要の拡大でフィードロット飼養頭数、収容能力ともに過去最大(豪州)
豪州フィードロット協会(ALFA)と豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は2024年8月22日、四半期ごとに共同で実施している全国フィードロット飼養動向調査の結果(24年4〜6月期)を公表した。
これによると、24年6月末のフィードロット飼養頭数は、141万8192頭(前年同期比12.8%増、前回比4.7%増)と過去最高であった前回(24年3月末)の記録をさらに更新した(表)。また、フィードロット収容可能頭数も163万7708頭(同5.3%増、同2.8%増)と史上初めて160万頭を突破した。穀物肥育牛肉に対する旺盛な需要が続いていることに加え、全国肥育場認定制度(NFAS)(注)の認定を受けた新たなフィードロットが稼働するなど、フィードロット全体の生産能力向上が飼養頭数の増加につながった。
この結果、フィードロットの稼働率は86.6%となり、19年第4四半期以来の高水準となった(図1)。
(注)1994年にALFAが豪州農業分野で初めて導入したフィードロットで生産される穀物肥育牛の品質保証制度。「管理システム」「食品安全」「環境管理」「家畜管理」「製品統一性」の五つの認定基準からなり、年1回の立入監査などが行われる。
また、当期(24年4〜6月)の穀物肥育牛と畜頭数は、73万4096頭(同6.6%増、同3.6%減)と前期からやや減少したものの、引き続き高い水準を維持している(図2)。その背景には堅調な輸出需要があり、日本、中国、韓国向けがけん引する形で、同期の穀物肥育牛肉の輸出量は過去最大の9万548トンを記録している(図3)。
今回の結果を受けてALFAは、「フィードロットの生産システムに対する信頼性の高まりに加え、生産能力の向上が今回の結果につながった」とコメントした。また、МLAは、「肥育用もと牛の価格が長期的に低水準で推移している中、世界的に穀物肥育牛肉への需要が高まっていることで、生産基盤は安定している」とし、米国の牛肉産業が停滞期から脱するまでこの状況は続くとしている。
【渡部卓人 令和6年8月29日発】
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