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中国肉類協会、食肉に関する政府関係者などによる講演会を開催(中国)

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 中国の大手食肉関係業界団体である中国肉類協会は2024年9月10日から12日まで、山東省済南市において、肉類産業刷新発展大会と題する政府関係者および業界関係者による講演会と、食肉加工製品やその加工施設などの展示会イベントを開催した。
 講演会では、中国農業農村部農産品品質安全センター、中国国家市場監督管理総局食品生産安全監督管理司のほか、ブラジル動物性タンパク質協会、アメリカ家禽鶏卵輸出協会などが講演を行った。以下に、食肉の品質管理に関する中国側の講演概要を紹介する。

(1)農業農村部農産品品質安全センター主任

 食肉の品質管理について、主に次の政策を推進している。

ア 業界の標準化(注1)の推進、普及。例えば、近年は薬品使用に関する複数 の国家基準を新たに策定しており、そのうち畜産用については二つ策定し、あわせて283種の畜産用薬品について基準を設けた。

イ 認証制度を活用したブランド化の推進。例えば、緑色農産品(注2)の認証は、地理的表示農産品と合わせ、すでに7万5000点以上が認証されている。

ウ 産業チェーンの標準化のためのモデル拠点設置などによる産業全体のレベルアップ。家畜・家きんで38の拠点を指定した。中国の畜産業は、先進国に比べてコストが高く、資源利用率が低いなどの理由から競争力が弱い。そのため輸入量は多くなり、国内産業が圧迫されるという悪循環に陥っている。薬品使用の問題も競争力を下げており、他国との中国産畜産物に関する輸出協議では、畜産用薬品の使用が問題となっている。このため、国家基準の普及を進めているが、基準との関係では肉質も重要である。中国産牛肉の多くは赤身であり、脂肪交雑などで品質を判別する国際的な等級制度では評価が低くなっている。産業チェーン全体として、これらの課題に対処していくことが必要である。

 現在、政府部門では次の五カ年計画の策定準備を進めている。農業農村部では標準化による畜産業の高品質化を目指している。

 (注1)中国では、基準には国家標準、業界標準、団体標準の三種類があり、規格に応じて、基準に適合するための措置または取組を強制的または任意で推進している。中国肉類協会は業界大手の団体という利点を活用し、団体標準の作成を進めている。中国の基準については、海外情報『中国畜産団体が牛肉の品質などに関する団体基準の策定に着手(中国)』(令和6年5月28日発)をご参照ください。
 (注2)適切に農薬を使用した安全かつ優良な農産品。

(2)国家市場監督管理総局食品生産安全監督管理司室長

 中国の食肉衛生は、今年の3月15日の「世界消費者権利デー」(注3)でも改めて明らかになったとおり、多くの課題を抱えている。
 2024年上半期、中央・地方政府が協力して実施した1万2850社の食肉加工製品に対する品質基準のサンプル調査では、99.37%が合格であった。21年の同規模調査に比べ0.24%上昇し、過去最高の合格率である。不合格となる製品には、油や動物の血を使うもの、加工工程が複雑なものなどが多い。
 食品衛生に関する問題が無くならない背景には、1)違法な食肉加工製品の提供が産業として成立してしまっている地域があること、2)中小企業で品質基準を満たす能力が足りていないこと、が挙げられる。
 また、食品衛生問題の通報に関しては、真偽を問わず、食品衛生問題があるため通報する、として企業を脅すなどの手法を取ることで、通報を免れようとする企業から暴利を得ようとする行為も発生している。市場監督管理部門が市民などからの通報を受けた案件のうち、実に6割が専業者、すなわち、政府機関に通報するによって企業から金銭を得ることを仕事とする者からのものである。これらの者は、90年代生まれ、あるいは00年代生まれが主力であり、大卒が多く、弁護士資格を持っているような者もいれば、かつて市場監督管理部門で働いていた、というような者もいる。
 食品衛生問題に対応するため、この4月から政府を挙げて「肉類産品の違法犯罪特化取締りプロジェクト(注4)を実施している。すでに6486件を正式に受理し、3818件は行政案件として、221件は刑事案件として対応中である。警察が直接受理、対応した案件も579件に上る。
 政府では、食品安全に関する行政規則を改正し、一部を認証制から届け出制に変更する一方、悪質な行為は取り締まる、というような管理監督の重点化を進めている。新しい商品群である半完成品(「預製菜」。ミールキットや、加熱すればそのまま食べられる食品など)に対する基準の策定も進めている。業界関係者には適切な品質管理と関係基準の順守を強く求める。

 (注3)中国では、3月15日の「世界消費者権利デー」に合わせて、毎年、消費者が市場で発見した不適切な商品や事業者をインターネット上で、または、政府の担当部署に告発することが定着している。詳しくは海外情報『中国市場監督管理総局、2023年の市場取締り状況などを公表(中国)』(令和6年4月2日発)をご参照ください。
 (注4)肉類産品の違法犯罪特化取締りプロジェクトについては、海外情報『中国国務院などが今年初の食品安全に関する取締りプロジェクトを公表(中国)』(令和6年4月23日発)をご参照ください。
【調査情報部 令和6年9月27日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9530