一方、「森林」の定義は、樹幹の高さが2メートルを超える樹木による樹冠被覆率
(注3)が20%を超える地域を指し、家畜の放牧を含む農業用地は含まないとされている。そして森林破壊とは、植生管理法
(注4)に違反し、森林地域で樹木を伐採することと定義している。
以上の整理からCAは、豪州の放牧による肉用牛生産は森林破壊に当たらず、広大な農地の管理による景観の維持や炭素の吸収源としての貢献など、環境に配慮した産業であると主張している。
加えて、環境保護と生物多様性の管理の実践において、豪州が世界のリーダーとなるため、連邦政府に対して以下の提言を行っている。
- 衛星情報を活用した正確な地図データを毎年更新・管理し、農地利用、環境、生物多様性の状態を評価すること
- 国内事業者の国内および国際市場へのアクセスの維持を支援し、国際基準との同等性を確保すること。また、貿易上の技術的障壁がWTОのルールに準拠しているか常に確認すること
- 生産者が牛肉生産と生物多様性の共存がもたらす利益を実感できるよう、業界と政府が連携して必要な手法を開発・普及させること
- 持続可能な開発計画を通じて食料安全保障、地域社会・経済および地域の生態系が損なわれることを防ぎ、戦略的な農業成長を支援すること
(注3)一定面積の地面に対して樹木の枝や葉が茂っている部分(樹冠)が占める割合。
(注4)豪州では連邦政府、州政府および準州政府レベルで施行されている136の植生管理に関する法律が存在し、ここではそれらを総称して記載している。