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欧州委員会、生乳・乳製品の短期的需給見通しを公表(EU)

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 欧州委員会は2024年10月8日、農畜産物の短期的需給見通し(注1)を公表した。このうち、24年の生乳・乳製品の需給状況および25年の需給見通しの概要について紹介する。
(注1)欧州委員会は、農畜産物の短期的需給見通しを年2回(24年に年3回から年2回に減少)、中期的需給見通しを年1回(12月)公表している。

生乳

 2024年の生乳出荷量は、1億4545万トン(前年比0.5%増)と前回(5月)見通しから0.1ポイント上方修正され、前年に比べわずかな増加が見込まれている(表1)。これは、(1)生乳取引価格が過去5年平均(19〜23年)に比べ14〜18%高の水準で推移していること、(2)一部の加盟国を除いて飼料生産と放牧に適した天候が続いていること、(3)肥料などの生産コストが低下したことによる酪農家の収支改善が見込まれること−が影響している。
 24年の生乳取引価格は、100キログラム当たり46ユーロ(7403円:1ユーロ=160.93円(注2))前後と前述の通り過去5年平均を上回る水準で推移している。
25年の生乳出荷量は、1頭当たり乳量の増加(同1.0%増)が経産牛飼養頭数の減少(同0.7%減)を相殺することで、1億4583万トン(同0.3%増)と予測されている。
 
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年9月末TTS相場。
表1

バターおよび脱脂粉乳

 2024年のバターの生産量は、チーズや濃縮乳およびクリームの生産量増加によりバター向け生乳量が減少したことで、229万4700トン(前年比1.6%減)と前回見通しから1.8ポイント下方修正された(表2)。またバター価格は、生産量の減少と安定した需要に支えられ、100キログラム当たり700ユーロ(1キログラム当たり1126円)を超えて推移している。このため、24年の輸出量は価格競争力の低下により26万8400トン(同4.0%減)と前回見通しから5.5ポイント下方修正された。EU域内の消費量も、他の油脂に比べて価格競争力が低下したことで、206万9800トン(同1.2%減)とわずかな減少が見込まれている。
 一方、脱脂粉乳の生産量は、23年に生産量が減少(同5.4%減)したことで、24年は前年並みの141万トン(同0.1%減)と見込まれている(表3)。輸出量は、中東および北アフリカの輸入需要は増加しているものの、中国の輸入需要低迷により73万6700トン(同5.0%減)と前回見通しから6.0ポイント下方修正された。
 25年は、チーズ生産量の増加が継続することから、バターの生産量は前年並みの228万6700トン(同0.3%減)と見込まれている。また、脱脂粉乳は、東南アジアの輸入需要増加により輸出量は74万4000トン(同1.0%増)とわずかな増加が予測されている。
表2
表3

チーズおよびホエイ

 2024年のチーズの生産量は、1117万4000トン(前年比2.0%増)と前回見通しから1.3ポイント上方修正された(表4)。また、輸出量は、域内価格が上昇傾向にあることから、前回見通しから0.5ポイント下方修正(同2.0%増)された。輸入量は、インフレが落ち着き英国とスイスからの高価格帯のチーズ輸入量増加により、前回見通しから1.0ポイント上方修正(同1.0%増)された。
 25年のチーズ生産量については、1123万2300トン(同0.5%増)とわずかな増加が予測されている。また、輸出量は、英国など主要輸出先の需要回復の遅れから24年の増加率を下回るものの、142万700トン(同1.0%増)と引き続き増加が予測されている。
 24年のホエイの生産量は、チーズ生産量の増加により前回見通しから0.1ポイント上方修正(同1.0%増)された(表5)。これに伴い輸出量も、同3.0%増の71万200トン(同3.0%増)と前回見通しから0.5ポイント上方修正された。
 25年のホエイ生産量については、同0.7%増、輸出量は同2.0%増といずれもわずかな増加が予測されている。
表4
表5
【渡辺 淳一 令和6年10月22日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-8527