豪連邦政府、中国との有機食品認証分野の協力に関する意向書に署名(豪州)
豪州連邦政府のコリンズ農林水産大臣は10月23日、豪州国会議事堂で中国国家市場監督管理局(SAMR:State Administration for Market Regulation)の羅文大臣と会談し、有機食品認証分野の協力に関する意向書に署名した。現在、中国は豪州にとって有機食品の輸出量で上位の市場となっているが、両国間には有機食品の同等性に関する協定が結ばれていない。今回の合意により、豪州農林水産省(DAFF)と中国のSAMRが有機食品の基準や認証に関する情報を共有し、貿易を促進するための協力体制が整うこととなる。DAFFは今後、この意向書を覚書に進展させ、中国との新たなパートナーシップをさらに拡大させていくことを目指すとしている。コリンズ農水大臣は、「労働党政権は、特に農業貿易と輸出の分野において、中国との関係を安定させるために努力してきた。これからも辛抱強く計画的に取り組むことで、最大の輸出市場である中国との貿易を回復させていく」とコメントしている。
(1)豪州の有機食品市場
豪州には2022/23年度(7月〜翌6月)時点で約5300万ヘクタール以上の有機生産農地があり、これは農地全体の約12.4%、世界の有機生産農地面積の60%に相当する。また、産業規模は26億豪ドル(2619億円:1豪ドル=100.73円(注))と、世界の有機産業の1%を占めている。貿易面では、米国、中国、シンガポール、マレーシアが主要な輸出先となっており、業界団体であるオーストラリア・オーガニック・リミテッド(AOL:Australian Organic Limited)によると、輸出額は26/27年度まで年率29%での成長が予測されている。また、豪州連邦産業科学研究機構(CSIRO)の調査によると、ベトナムなどの東南アジア諸国では豪州産有機牛肉の需要が高まっており、有機畜産物が輸出需要の創出に大きく貢献しているとされている。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年9月末TTS相場。
(2)業界団体の動向
今回の発表を受けて業界団体からは、連邦政府認定の輸出に対応した有機認証機関である5機関(表1)およびAOLが中心となって、輸出市場アクセスの改善を長年要望してきた背景もあり、今後の協議の進展を期待する声が挙がっている。また、東南アジアのいくつかの新興市場には、有機認証の同等性・適合性に関する取り決め(表2)がないことから、これらの市場のさらなる開拓が望まれている。
一方、豪州では、「有機」という言葉の定義を法律で定めておらず、有機認証の取得・表示は任意となっている。2021年に行われたDAFFの調査によると、有機認証を取得していない有機食品事業者は、事業者全体の約3割とされており、業界団体は豪州の有機ブランドの信頼性を高めるためにも、国内法規制の改善が喫緊の課題としている。
【調査情報部 令和6年10月28日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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