環境・食料・農村地域省(DEFRA)の2025/26年度(4月〜翌3月)予算は、前年度比2.7%増となる75億ポンド(1兆5226億円、1ポンド=203.01円
(注1))が措置された。このうち、イングランドでのより生産的で環境的に持続可能な農業への移行支援、すなわち直接支払制度や持続可能な取り組みに対する奨励金制度(環境土地管理制度(ELMS)
(注2))については、24/25年度および25/26年度の2年間で合計50億ポンド(1兆151億円)が措置され、従来と同程度の年間24億ポンド(4872億円)の水準が確保された。なお、この予算額には気象災害による大雨などの被害を受けた生産者への支援となる農業復興基金への6000万ポンド(122億円)の拠出が含まれる。
DEFRAは、同日公表したプレスリリースの中で、直接支払制度の減額措置に関し、さらなる加速についても言及した。英国(イングランド)はEU離脱以降、28年までに直接支払制度を段階的に縮小・廃止する代替として、ELMSを拡充することとしている。また、25年以降の直接支払制度については、3万ポンド(609万円)の算定額に対して76%の削減が適用され、3万ポンドを超える部分については100%削減される。これは、21年以降の削減率の増加率を大幅に上回るものとなる(表)。一方、直接支払制度の所要額が減少することにより、ELMS予算は25/26年度には過去最高に達する見込みとしている。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年10月末TTS相場。
(注2)英国の農業関連政策の詳細は「EU離脱後の英国における畜産関連農業政策などの動向」をご参照ください。