中国国際サプライチェーン促進博覧会におけるグリーン農業フォーラム(中国)
最終更新日:2024年12月4日
2024年11月26日から30日まで、中国商務部傘下の中国国際貿易促進委員会が主催する第2回中国国際サプライチェーン促進博覧会が北京市で開催された。同博覧会には中国国内外から620社が出展し、会期中に6つのフォーラム(注1)が併催された。このうち、グリーン農業フォーラムと主な農業関連企業の出展の様子を紹介する。
(注1)「グリーン農業」以外に、「先進的な製造」「クリーンエネルギー」「スマート自動車」「デジタル科学技術」および「健康的な生活」のフォーラムがある。
グリーン農業フォーラムとグリーン農業政策の概要
同フォーラムでは、主催者のほか、国連食糧農業機関(FAO)の在中国代表代理、カーギル(穀物系多国籍企業)の中国区総裁などが冒頭発言を行った。また、カーギルのほか、出展企業であるシンジェンタ・チャイナ(多国籍種子企業の中国法人)、バドワイザー、マクドナルドなどからの代表者が出席するシンポジウムも開催され、持続可能な農業の重要性が確認された。
基調講演は国家農業デジタル化システム技術研究センターの主任から、持続可能な農業の必要性のほか、2021年に中国農業農村部、国家発展改革委員会、中国科学技術部、中国自然環境部、中国生態環境部および中国国家林業局が連名で定めた「十四五全国農業緑色発展規画」の概要と目的が紹介された。
この「規画」は、中国のあらゆる行政分野で策定される第十四次5カ年計画のうち、グリーン農業政策について定めたものである(この「農業」には、畜産業、林産業および水産業が含まれる)。策定当時は、1)環境農業、グリーン農業が重要であるとの認識が十分ではなく、農業生産は単純な生産量を追求する段階にあり、量と質の両方を求める段階に至っていない、2)農業の主要な生産方式がいまだに資源効率の悪い粗放的なものや化学肥料を多量に使用するものであることから、土壌の劣化や環境汚染問題が発生し、グリーン技術の刷新も十分ではない、3)有機農産物のような環境負荷の低い商品の供給や規格化が十分ではなく、農産物の消費のレベル向上が図られていない、4)グリーン農業の発展を促す政策が十分ではないことを上げ、これらについて施策の方向性を提示した。
また、25年に達成する目的(指標)として、農地の質に関する等級(中国独自制度)や水田の灌漑(かんがい)利用率を高めることのほか、例えば、家畜・家きんのふん尿の利用率を80%にする(20年段階では75.9%)、使用済農業資材の回収率を85%にする(同80%)ことなどが明記された。
グリーン農業エリアへの国内外企業の出展
展示会場のうち、グリーン農業エリアには中国国営企業から中糧グループ(中国最大の穀物系企業)、五糧液(中国2番手の白酒製造企業)などが、外国系企業では正大グループ(タイ資本の中国最大の養豚企業)、カーギル、シンジェンタなどが出展した(写真)(注2)。
会場には企業や研究機関の関係者の姿が多く見られたほか、ブランド豚などの試食品を提供する出展ブースには学生と見られる若者の列が見られた。
(注2)日本からはサントリーと(一社)日中農業商務促進会が参加した。後者は、中国で十年以上にわたって農業資材、種苗などを販売してきた日本企業が集まり、互いに商品、サービスを持ち寄ってより広範な中国市場のニーズに対応するために2024年に設立した一般社団法人。
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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