米政府、米国内の食品の日付表示に関する情報提供の要請を開始(米国)
米国農務省食品安全検査局(USDA/FSIS)および食品医薬品局(FDA)は2024年12月3日、食品の日付表示に関する情報提供の要請を開始した。これは、「品質保持期限」(Best if Used By)や「使用期限」(Used By)といった現行の食品の日付表示にばらつきがあることで、消費者が混乱し、安全で健康的に消費できる食品が廃棄されている可能性があるとして実施されるものである。この取り組みは、今年6月に定められた「食品ロスおよび食品廃棄物の削減と有機物のリサイクルに関する国家戦略」
(注)に基づくものとなっている。
(注)「【海外情報】食品ロス・食品廃棄物削減および有機物リサイクルのための国家戦略を策定 (米国)(令和6年7月12日発)」も併せて参照ください。
1 米国の食品日付表示の概要と情報提供が要請された背景
米国では、食品業界に対し、品質に基づく食品の日付表示として「品質保持期限」の自主的な表示を推奨している。一方で、食品の日付表示は安全性からではなく、あくまでも品質が維持される期間を示すものとして扱われている。また、虚偽ではなく誤解を招くものでもない場合には、「販売期限」(Sell By)や「使用期限」といった他の日付表示も認められている。ただし、育児用調製粉乳に関しては、特に乳児に対して唯一の栄養源として活用されることが多いため、法律に基づき「使用期限」の表示が義務付けられている。
USDA/FSISおよびFDAは、このような実態が消費者に対して誤解を与え、特に日付表示を理由に消費可能な食品が大量に廃棄されている可能性があるとしている。FDAのジョーンズ食品担当副長官によると、日付表示の混乱による廃棄は、家庭内の食品廃棄物の2割を占めていると推定されている。このため、食品の日付表示のばらつきに関する状況と消費者の認識を評価するためのデータを収集し、必要に応じて食品廃棄物の削減を目的とした政策決定や、消費者キャンペーンなどに活用するとしている。
米国の食品の日付表示については、USDA/FSISが家畜の食肉(家きんおよびナマズを含む)および家きん卵製品を所管し、FDAが青果物、牛乳・乳製品、穀物、包装済みの食品、殻付きの家きん卵、魚介類(ナマズを除く)、育児用調製粉乳、栄養補助食品、飲料、野生鳥獣肉など食品の大部分を所管している。
2 提供が要請されている情報の概要と今後の見込み
今般の情報提供の要請期間は、2025年2月3日までの60日間とされている。対象となっている情報は大きく(1)食品産業界における慣行に関する項目、(2)日付表示に関する消費者の認識に関する調査(根拠)に関する項目、(3)食品ロスと廃棄に関する研究に関する項目の3項目に分かれ、各項目合計13の設問となっている(表)。
今後の評価や規則の変更について、具体的な時期などの言及はないが、現地情報によると、米国政府は「品質保持期限」の使用を推奨していることから、今回の情報提供で得られた結果をもとに、米国で生産している食品のみならず、国外から輸入する食品をも含めて統一的に規則を適用する可能性があるとみられている。
【調査情報部 令和6年12月16日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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