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米国食品医薬品局、植物性代替食品のパッケージに主原料の明示を求める(米国)

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 米国食品医薬品局(FDA)は1月6日、食肉、乳製品(注1)、卵、魚介類それぞれの植物性代替食品におけるパッケージについて、「植物由来」といった一般的な表示だけではなく「大豆由来」など主原料を明示するよう推奨する新たなガイドライン案を公表した。

ガイドラインの内容

 同ガイドラインにおいてFDAは、植物性代替食品は比較的新しい食品である上、豆類やナッツ、種子、穀物、青果物、キノコ類などさまざまな種類があるため、「植物由来」「食肉不使用」「ベジタリアン」などの一般的な表示では、原材料の認識において消費者に誤解を与えるおそれがあるとしている。このため「大豆由来のベーコン」「小麦のジャーキー」「カシューナッツのチーズスプレッド」のように、主な原材料をパッケージに記載することを推奨している(写真)。こうした表示は、栄養バランスや好みに応じた製品の購入に役立ち、食物アレルギーを抱える消費者にとってアレルゲンなどを確認する助けにもなるとしている。
 また(1)主原料の表記はパッケージ上で最も大きな文字の2分の1以上の大きさで表示する(2)複数の主原料がある場合は「黒豆とマッシュルームのパティ」など重量比で多く含まれる主原料を先に記載する(3)「牛肉風味」のように風味を伝えるために家畜や動物性食品の挿し絵などを記載する場合、動物性食品を含むとの誤解を与えないよう「牛肉フリー」といった表示を併記するといった推奨も行っている。
 今回ガイドラインの内容は推奨事項となり、当局による法的拘束力が発生するものではない。FDAはガイドラインを最終決定する5月7日までパブリックコメントを募集している。
 
写真 FDAが提示する商品パッケージのイメージ例

業界団体の反応

 今回のガイドラインについて、プラントベースフード協会(PBFA)のマルホール上席政策部長は「植物性代替食品を主原料の明示を求めない他食品と異なる方法を強いることで不当に扱うものであり、生産企業に対する訴訟を招くおそれがある(注2)」と懸念を表明した。また、植物性代替食品の普及を推進するグッド・フード・インスティテュート(GFI)のコーエン上級規制弁護士は「植物性代替食品について、チーズやヨーグルトといった動物性食品に由来する用語の使用を排除していない点で称賛に値する。一方で、原材料は現在でも容易に確認でき、表示の変更はかえって消費者の選択肢を狭める可能性がある」と述べた。
 
(注1)豆乳やアーモンドミルクといった植物由来の乳飲料については23年2月に別途ガイドラインが公表されており、今回ガイドラインの対象外となっている。
(注2)法的拘束力の伴わないものであっても、FDAのガイドラインは消費者集団訴訟などにおいて頻繁に引用された事例があり、特に訴訟が負担となる小規模企業にとって無視できない影響があるとされる。
【小林 大祐 令和7年1月16日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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