米国農務省による世界および米国のトウモロコシ需給予測(2025年1月)
生産減・消費増などから期末在庫はかなりの程度減少
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2025年1月10日、24/25年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表1)。
これによると、同年度の世界のトウモロコシ生産量は12億1435万トン(前年度比1.3%減)と前月から354万トン下方修正された。このうち、中国やガーナ、ロシアなどは前月から上方修正され、中国では2億9492万トンと292万トン上方修正されて過去最高の更新が見込まれているが、米国の701万トン下方修正がこれを上回った。
輸入量は、世界全体で1億8315万トン(同7.1%減)と前月から77万トン下方修正された。トルコの上方修正があったものの、中国や韓国、日本の下方修正が上回った。また、中国の輸入量については、同日付で中国農業農村部が公表した同年度の中国のトウモロコシ輸入量900万トンとは400万トンの乖離がある。
消費量は、世界全体で12億3847万トン(同1.7%増)と前月から81万トン上方修正された。ブラジルで前月から200万トン上方修正されたことが寄与した。
輸出量は、世界全体で1億9141万トン(同0.3%減)と前月から163万トン下方修正された。このうち、最大の輸出国である米国やブラジルの下方修正が影響した。
この結果、期末在庫は米国の下方修正を反映し2億9334万トン(同7.6%減)と前月から310万トン下方修正された。
米国は総供給量の減少により期末在庫はかなり大きく減少
USDA/WAOBは同日、2024/25年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを公表した(表2)。
生産量は、生育初期の十分な降雨と温度が確保できて作況が良好であったことから収穫面積が上方修正されたが、単収の下方修正から148億6700万ブッシェル(3億7764万トン(注1)、前年度比3.1%減)と前月から下方修正され、前年度をやや下回ると見込まれている。
米国内消費量は、飼料等向けが前月から下方修正されたことから、126億6500万ブッシェル(3億2170万トン、同0.1%減)と下方修正され、前年度並みと見込まれている。
輸出量は、2500万ブッシェル下方修正されたものの米国産トウモロコシの需要増により24億5000万ブッシェル(6223万トン、同6.9%増)と、前年度をかなりの程度上回る高水準とされている。
この結果、期末在庫は15億4000万ブッシェル(3912万トン、同12.6%減)と、総供給量の下方修正により前月から下方修正され、前年度をかなり大きく下回ると見込まれている。
また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、10.2%(同1.6ポイント減)と前月から1.2ポイント下方修正され、前年度を下回ると見込まれている。
生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり4.25米ドル(677円。1キログラム当たり26.6円:1米ドル=159.18円(注2)、同6.6%安)と前月から上方修正されたが、引き続き前年度からかなりの程度下落が見込まれている。
(注1)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年12月末TTS相場。
【岡田 真希奈 令和7年1月20日発】
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