25年のトマト生産量は増加、パプリカ生産量は減少の見込み(韓国)
最終更新日:2025年1月22日
韓国農村経済研究院(KREI)は2025年1月16日、34年までの農産物の生産見通しとなる「農業見通し2025」を発表した。
同見通しによると、25年は施設野菜主要8品目(きゅうり、かぼちゃ、ピーマン、パプリカ、トマト、すいか、メロン、いちご)のうち、きゅうり、ピーマン、トマトおよびいちごの作付面積は増加が見込まれている。一方、かぼちゃ、すいか、メロンおよびパプリカの作付面積は減少が見込まれている。
また、露地野菜主要4品目(はくさい、キャベツ、だいこん、にんじん)はすべての品目で作付面積の増加が見込まれている。
1 増加見込みのトマトと減少見込みのパプリカ
施設野菜うち、主要輸出品目でもあるトマトとパプリカを見ると、トマトは、2024年の価格高騰による増産意欲を受けて作付面積の増加が見込まれることに対し、パプリカは、労力不足や栽培管理の難しさにより作付面積の減少が見込まれている。
(1)トマト
施設野菜の主力品目であるトマトは、ここ数年、パプリカへの作付け転換や天候不順による単収減少などにより、作付面積および生産量とも伸び悩んでいた。2024年は天候不順による不作傾向で高値での推移となったことから、25年は生産者の作付け意欲が向上し、作付面積は前年をわずかに上回る6180ヘクタールと見込まれている。また、10アール当たりの単収は平年並みの5535キログラムとなり、生産量は前年をやや上回る34万2000トンと見込まれている。
中期的には、国内需要の拡大や輸出先の多様化が進展することで、34年の作付面積は6305ヘクタールまで増加すると見込まれている。スマートファームに基づく環境制御技術と病害虫抵抗性品種の開発などによる栽培技術の向上により、34年の生産量は38万5900トンまで増加すると見込まれている(表1)。
(2)パプリカ
パプリカは、これまで日本向け輸出や国内需要の拡大で生産量を伸ばしてきた。しかし、冬作型を行う小規模生産者を中心にきゅうりやトマトへの作付け転換や、夏作型における労働力不足により、2025年の作付面積は、前年をわずかに下回る779ヘクタールと見込まれている。このため、生産量も前年をわずかに下回る8万7300トンと見込まれている。
中期的には、生産者の規模拡大などにより、34年の作付面積は802ヘクタールまで増加すると見込まれている。トマト同様、スマートファームに基づく環境制御技術と病害虫抵抗性品種の開発などによる栽培技術の向上により、34年の生産量は9万400トンまで増加すると見込まれている(表2)。
2 価格高騰で25年は作付け意欲が向上する露地野菜主要4品目
露地野菜主要4品目は、食の洋風化により需要が増加してきたキャベツを除き、生産者の高齢化や離農などにより作付面積、生産量ともに減少傾向にあった。2024年は天候不順による不作傾向で高値推移となったことから、25年は生産者の作付け意欲が向上し、キャベツを除いた3品目で作付面積の増加が見込まれている。作付面積の増加に加え、天候不順などがなく平年並みの単収で推移すれば、生産量の増加も見込まれている。
中期的には、需要が安定しているキャベツは引き続き作付面積および生産量とも増加が見込まれる一方、はくさい、だいこんおよびにんじんは作付面積および生産量とも減少が見込まれている(表3)。
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