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25年の牛肉、豚肉および生乳の生産量は減少の見込み(韓国)

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 韓国農村経済研究院(KREI)は2025年1月16日、34年までの農畜産物の生産見通しとなる「農業見通し2025」を発表した。
 同見通しによると、25年の畜産物の生産量(牛肉、豚肉および生乳)は、飼料コストの高止まりなどから牛肉、豚肉および生乳はともに減少が見込まれている。畜産物の輸入量(牛肉、豚肉および乳製品)は、需要が増加している乳製品は増加するものの、為替相場の影響により割高な牛肉と繰越在庫が多い豚肉は減少が見込まれている。

1 牛肉

(1)2024年の実績

ア 24年の牛肉生産量は5.8%増
 2024年の牛肉生産量は前年比5.8%増の32万1000トンとなった。これは、22年時点で好調にあった牛肉価格を背景に飼養頭数を増やした肉牛が出荷時期を迎えたこと、また、現下の牛肉価格の下落や飼料コスト上昇を受けた肉牛の早期出荷増が要因とされている。

イ 24年の牛肉輸入量は1.8%減
 2024年の牛肉輸入量は、同1.8%減の44万6000トンとなった。減少の要因として、国内の牛肉生産量が増加する中で、比較的安価な豪州産の輸入量は増加したものの、為替相場の影響で割高となった米国産の輸入量減少が影響したとされている。

(2)2025年以降の見通し

ア 25年の牛肉生産量は1.0%減の見込み
 2025年は、牛肉価格の下落に伴う肥育農家のもと牛導入意欲の低下や、24年の早期出荷などの影響で肥育頭数が減少することから、牛肉生産量は前年比1.0%減の31万8000トンと見込まれている。
 26年以降も引き続き牛肉生産量は減少するが、29年以降は肥育頭数が徐々に回復に転じることで、34年の牛肉生産量は32万トンと見込まれている。

イ 25年の牛肉輸入量は5.9%減の見込み
 2025年は、国産牛肉価格が引き続き低迷する見込みであること、為替相場の影響で輸入牛肉が割高になっていることなどから、牛肉輸入量は同5.9%減の41万9000トンと見込まれている。
 26年以降は、FTAを締結している米国(26年)および豪州(28年)に対する輸入牛肉の関税が撤廃されることで牛肉輸入量は増加に転じ、34年には46万9000トンに達すると見込まれている(表1)。
表1

2 豚肉

(1)2024年の実績

ア 24年の豚肉生産量は1.2%増
 2024年の豚肉生産量は前年比1.2%増の113万2000トンとなった。これは、繁殖母豚数が減少する中で、繁殖母豚として多産雌豚の導入が進んでいることや、養豚施設の近代化など生産性向上による肥育豚頭数の増加からと畜頭数が増加したことが要因とされている。

イ 24年の豚肉輸入量は12.2%増
 2024年の豚肉輸入量は同12.2%増の45万2000トンとなった。中でも、米国からの輸入量が同22.9%増と大幅に増加したことに加え、EUやカナダなどからの輸入量も前年比6.0%増となった。

(2)2025年以降の見通し

ア 25年の豚肉生産量は2.7%減の見込み
 2025年は、肥育豚頭数が前年をわずかに下回ると見込まれることから、豚肉生産量は前年比2.7%減の112万9000トンと見込まれている。
 26年以降は、繁殖母豚数に大きな変化はないものの、生産性向上による肥育豚頭数の増加が見込まれること、また、国内需要を受けて増産気運が高まり、34年には118万5000トンに達すると見込まれている。

イ 25年の豚肉輸入量は5.4%減の見込み
 2025年は、為替相場の影響や輸入豚肉の繰越在庫の増加により、同5.4%減の42万8000トンと見込まれている。
 26年以降は、FTAを締結している米国やEUを中心に輸入量が増加し、29年には48万3000トンに達すると見込まれている(表2)。
表2

3 生乳

(1)2024年の実績

ア 24年の生乳生産量は0.4%増
 2024年は、搾乳牛がわずかに増加したことから、生乳生産量は前年比0.4%増の193万8000トンとなった。

イ 24年の乳製品輸入量は4.7%減
 2024年の乳製品輸入量(生乳換算)は、同4.7%減の236万4000トンとなった。輸入単価の下落から牛乳およびクリームの輸入量は増加したものの、チーズおよびバターの輸入量減少が影響したとされている。

(2)2025年の見通し

ア 25年の生乳生産量は0.6%減の見込み
 2025年は、飼料コストの上昇で経営環境が悪化している零細農家を中心とした離農から搾乳牛飼養頭数が減少し、生乳生産量は前年比0.6%減の192万7000トンと見込まれている。

イ 25年の乳製品輸入量は1.9%増の見込み
 2025年は、国内の生乳生産量が減少する一方、国内需要の高まりやFTAを締結している米国およびEUからの輸入量が増加することから、乳製品輸入量(生乳換算)は同1.9%増の241万トンと見込まれている(表3)。
表3
【伊澤昌栄 令和7年1月24日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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