(1)25年の牛肉の生産と価格動向の見通し
中国の牛肉関係者の多くは、2025年の中国産牛肉の生産量は減少と見込んでいる。市場価格は上下の変動はあるだろうが1年後は安値になっているとみられている。ただし、中国の1人当たり牛肉消費量については、世界平均より低いため、増えるとの見方もある
(注3)。
(注3)中国における牛肉生産と消費については海外情報「輸入牛肉に対するセーフガード措置に関する調査への中国関係業界の見方」(令和7年1月28日発)をご参照ください。
(2)適正な母豚飼養頭数についての考え方
中国では5年に一度、畜産物についての自給率目標を定めている
(注4)。現在は第14次5カ年計画期間中であり、豚肉については2025年の生産量は5500万トン程度、自給率は95%程度と目標値が定められている。適正な母豚飼養頭数は、この目標値を基本として設定されている
(注5)。
これらの数値はおおむね現状に合致しており、その前の5カ年計画で定められた目標よりも実際の推移に近く、より正確な目標が定められたと考えている
(注6)。この目標が設定されたのは20年頃であり、前回の目標策定(アフリカ豚熱が蔓延する前の15年頃)に比べ、政府が畜産業の動向をより正確に捉えようとしたことの表れと理解している。現在の母豚の適正飼養頭数(「3588万頭から4095万頭の間」)も実際の動向に合っており、こういう規模感ではないかと考える。
次の5カ年計画については、年間豚肉生産量は5500万トンをわずかに下回るものになるのではないかとの見方がある。
(注4)現在の5カ年計画期間中における畜産の主要な目標値については『畜産の情報』24年3月号「中国における畜産業の生産基盤強化に向けた取り組み」および同24年7月号「中国の畜産物を中心とした食料消費の現状と今後の展望」をご参照ください。
(注5)中国養豚業界における母豚飼養頭数の位置づけについては海外情報「中国農業農村部、豚の飼養頭数調整のための方策を改訂(中国)」(令和6年3月12日発)をご参照ください。
(注6)中国の5カ年計画に定められた目標には、畜産物については、達成することを目指す目標と、畜産物のように実際の推移を見越した予測に近い目標がある。