米国農務省動植物衛生検査局(USDA/APHIS)は2025年2月1日、メキシコからの生体牛輸入が再開されると発表した。メキシコからの輸入は同国北部の国境を接する2カ所の施設を経由して行われる予定であり、程なく輸入再開されることが見込まれている。
米国は24年11月22日、メキシコ南部の牛からラセンウジバエが検出されたことを受け、同国からの生体牛輸入を一時的に停止した
(注)。同年12月12日には輸入再開に関するプロトコル(手順書)の署名が行われたものの、USDAによる輸入前検査施設(係留所)の承認手続きなどに時間を要していた。
今回の発表によると、生体牛の輸出前検査は、同国北部の米国と国境を接するチワワ州サンヘロニモおよびソノラ州アグア・プリエタの2カ所の係留所で開始される(図1)。生体牛は、訓練を受けた認定獣医師により検査を受けた後、APHISによる再検査を経て、それぞれ米国ニューメキシコ州サンタテレサとアリゾナ州ダグラスの施設に向けて陸路で輸出される。
米国は年間約130万頭の肥育もと牛をメキシコから輸入しているが、今回の一時停止措置により輸入が約25〜30万頭減少したと推定されており、米国の肥育もと牛価格(図2)や肥育牛価格の上昇を引き起こしていた。輸入再開に先立つ1月17日、米国のヴィルサック農務長官はメキシコのベルデゲ農業・農村開発大臣に対し、検査施設の承認に向けた修正事項への対応と、メキシコ南部における不妊バエ放飼施設の設立支援を要請する書簡を送っていた。
USDAは、今後も生体牛の輸入再開およびラセンウジバエの根絶に向けて、引き続き検査体制の整備・強化や、メキシコ・中米地域における不妊バエの放飼などの取り組みを行っていくとしている。
(注)輸入停止の経緯などについては海外情報「米国農務省、メキシコからの生体牛輸入再開に関する手順書に署名(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003999.html)」も併せてご参照ください。